第2次世界大戦の荒廃から復興途上にある1953年の英ロンドンを舞台に、生きる意味を見つめ直す『生きる LIVING』がいよいよ劇場公開!
©Number 9 Films Living Limited
余命を告げられた男が、人生を見つめ直し変わっていく様を描く『生きる LIVING』が3月31日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『生きる LIVING』は、黒澤明監督の名作映画『生きる』を、ノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本によりイギリスでリメイクしたヒューマンドラマ。1953年、第2次世界大戦後のロンドン。仕事一筋に生きてきた公務員ウィリアムズは、自分の人生を空虚で無意味なものと感じていた。そんなある日、彼はガンに冒されていることがわかり、医師から余命半年と宣告される。手遅れになる前に充実した人生を手に入れたいと考えたウィリアムズは、仕事を放棄し、海辺のリゾート地で酒を飲んで馬鹿騒ぎするも満たされない。ロンドンへ戻った彼はかつての部下マーガレットと再会し、バイタリティに溢れる彼女と過ごす中で、自分も新しい一歩を踏み出すことを決意する。
本作では、『ラブ・アクチュアリー』等の名優ビル・ナイが主演を務め、ドラマ「セックス・エデュケーション」のエイミー・ルー・ウッドがマーガレットを演じる。監督はオリヴァー・ハーマナスが務めた。
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映画『生きる LIVING』は、3月31日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や七条のT・ジョイ京都、兵庫・西宮のTOHOシネマズ西宮OSや神戸・三宮のOSシネマズミント神戸等で公開。
本作のオリジナル版である黒澤明監督による『生きる』を未見であっても、今作の映画鑑賞は十分といっていいほど、満足できる作品だ。物語の内容自体は、比較的にシンプルではあるものの、映像や演出面での拘りで映画というものは何層にも輝きが増すことを再認識させられた。まさに、求めていた”映画体験”である。最期を迎えるまでの残された時間、家族や仕事といった普遍的な悩みから、少し特殊な人間関係も全てが叙情的に映った。
演じている役者陣の掛け合いも素晴らしく、ドラマ『セックス・エデュケーション』で、愛されキャラとして、一際存在感を放っていたエイミー・ルー・ウッドは、本作でも生命力の溢れるマーガレットという人物を演じている。マーガレットとは対照的に、死を受け入れようとするウィリアムズ。何気ない会話から、仕事の取り組み方まで、2人のバイタリティの差が徐々に縮んでいく様子に、生きることの意義や価値を考えさせられ、人生という尺の中に儚さや美しさも感じることができた。タイトルが『生きる LIVING』というのも納得で、鑑賞を終える頃には、人生について改めて考え直したくなるほど優しさの溢れる作品となっている。
fromねむひら
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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