刺殺体となって発見された女性の素性と生涯を探りながら事件の背景に迫るミステリー『メグレと若い女の死』がいよいよ関西の劇場でも公開!
©2021 CINE-@ F COMME FILM SND SCOPE PICTURES.
身元不明の女性が身に着けていたドレスを手がかりに、メグレ警視が事件の真相に迫っていく『メグレと若い女の死』が3月24日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『メグレと若い女の死』…
1953年、パリ・モンマルトルのバンティミーユ広場で、シルクのイブニングドレスを着た若い女性の遺体が発見される。真っ赤な血で染まったドレスには5ヶ所の刺し傷があった。捜査に乗り出したメグレ警視は、その遺体を見て複雑な事件になると直感する。遺体の周囲に被害者を特定できるものはなく、手がかりとなるのは若い女性には不釣り合いなほど高級なドレスのみ。被害者の素性とその生涯を探るうちに、メグレ警視は異常なほどこの事件にのめり込んでいく。
本作は、フランスの名匠パトリス・ルコントが8年ぶりに長編映画のメガホンをとり、代表作『仕立て屋の恋』の原作者ジョルジュ・シムノンのミステリー小説を映画化。名優ジェラール・ドパルデューがメグレ警視を演じ、『タイピスト!』のメラニー・ベルニエ、『パリ、テキサス』のオーロール・クレマン、『ともしび』のアンドレ・ウィルムが共演。
©2021 CINE-@ F COMME FILM SND SCOPE PICTURES.
映画『メグレと若い女の死』は、関西では、3月24日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や京都・烏丸の京都シネマ、3月31日(金)より神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
フランスの古典的な人気キャラクター、メグレ警視。彼の捜査スタイルは他の有名な人気探偵キャラたちの派手なそれとは異なる。例えばシャーロック・ホームズのように天才的な推理で鮮やかに犯人を推理していくような見せ場はない。ただひたすら街を歩き回り、人々に聞き込みを続け、一つ一つの手がかりをその手で少しずつ手繰り寄せて真相を突き止めてゆく。
そんな地味だけれど信頼のできるメグレが出会ったある事件のエピソードを、巨匠パトリス・ルコント監督が、名優ジェラール・ドパルデューを主演に迎えて完成させた。ストイックな演出と静かな語り口で観る者の心をしっかりと掴む、硬派のハードボイルド・ディテクティブストーリーの秀作となっている。監督が75歳、主演俳優は74歳と、二人とも大ベテランのご高齢だが、それでもこのままシリーズ化されることを期待してしまう。
ラストシーンは、優しさと喪失感でいっぱい胸をキュっと締め付けれられる切なさに満ちた名場面になっており、「その情景」を視ることのできるメグレの誠実な人柄が厳かににドラマを締めくくる。ありがちな表現になるのを承知で強調すると、観客が「映画館のスクリーン」で観ることに他には代えがたい意味がある場面なので、劇場での鑑賞をお薦めしたい。
fromNZ2.0@エヌゼット
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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