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愛が、再び押し寄せる…!『WAVES/ウェイブス』がいよいよ全国の劇場で公開!

2020年6月5日

(C)2019 A24 Distribution, LLC. All rights reserved.

 

ある夜を境に幸せな日常を失った兄妹を軸に、傷付いた者たちの苦難と再生を描く『WAVES/ウェイブス』が、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う全国的な緊急事態宣言の解除を受け、7月10日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『WAVES/ウェイブス』は、ある夜を境に幸せな日常を失った兄妹の姿を通し、青春の挫折、恋愛、親子問題、家族の絆といった普遍的なテーマを描く青春ドラマ。フロリダで暮らす高校生タイラーは、成績優秀でレスリング部のスター選手、さらに美しい恋人もいる。厳格な父との間に距離を感じながらも、何不自由のない毎日を送っていた。しかし肩の負傷により大切な試合への出場を禁じられ、そこへ追い打ちをかけるように恋人の妊娠が判明。人生の歯車が狂い始めた彼は自分を見失い、やがて決定的な悲劇が起こる。1年後、心を閉ざした妹エミリーの前に、すべての事情を知りながらも彼女に好意を寄せるルークが現れる…

 

本作では、主人公タイラーを『イット・カムズ・アット・ナイト』のケルビン・ハリソン・Jr.、ルークを『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のルーカス・ヘッジズがそれぞれ演じ、『イット・カムズ・アット・ナイト』のトレイ・エドワード・シュルツが監督・脚本を手がけた。

 

(C)2019 A24 Distribution, LLC. All rights reserved.

 

映画『WAVES/ウェイブス』は、7月10日(金)より大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田をはじめ、全国の劇場で公開。

※今後改めて政府・行政から劇場へ休業要請が出たり、不測の事態で再度延期や公開中止になる可能性もあります。

本作は、トレイ・エドワード・シュルツ監督が試用する楽曲のプレイリストを作成し脚本を着想して制作された。登場人物の個性や感情が楽曲によって表現されており、まさに”プレイリスト・ムービー”と呼べる画期的な作品である。

 

物語の前半は、高校レスリング部のスター選手であるタイラーと、誰からも愛される人気者である恋人のアレクシスを中心に描く。レスリングのコーチを務める父親からのプレッシャーにもがきながら様々な事態に巻き込まれながら懸命に日々を生きていくが、突然起こる歯車の狂いによって人生を棒に振ってしまう。そこでは、ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーとアッティカス・ロスによる楽曲が悲劇をより一層に重く感じさせていく。そして、物語は後半へ。次は、タイラーの妹であるエミリーが、レスリング部員だったルークと出会うことから始まる。2人はそれぞれに自信の家族に対する怒りや蟠りを抱え逃げてきたが、真摯に自身と向き合い未来に向かって歩んでいこうとする姿を観て、熱い想いが込み上がってしまった。

 

そんな本編最後に流れるのは、レディオヘッドによる「True Love Waits」。この楽曲は、そもそも最初に発表されたのは1995年のLIVE。それ以来、何度もレコーディングが行われたが、満足できるアレンジに仕上がらず、なかなかアルバムに収録されなかった。初披露されて20年以上を経て、2016年のアルバム『A Moon Shaped Pool』に満を持して収録される。多重ピアノによるアンビエントな楽曲として構築されており、レディオヘッドのトム・ヨークの熱意が十分に込められた。エミリーが家族に対して長年抱えていた思いを解放できたことと、トム・ヨークが楽曲に対して注いできた思いは共鳴すると監督は確信したように思える。

フランク・オーシャンやケンドリック・ラマー等の2010年代以降に活躍しているアーティストの楽曲を中心にしながら、1990年代から活躍しているレディオヘッドの楽曲を大事なシーンで用いた監督の手腕を大いに絶賛したい。21世紀を生きるアメリカの若者達を濃密に描いた2020年代における傑作の一つとして残されていくはずだ。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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