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元乗馬競技選手の韓国人や、刑事の父と2人暮らしの女子高生が織り成す群像劇『やまぶき』がいよいよ関西の劇場でも公開!

2022年11月7日

(C)2022 FILM UNION MANIWA SURVIVANCE

 

岡山の採石場で働く元乗馬競技の選手と、刑事の父と暮らす少女を描く『やまぶき』が11月12日(土)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『やまぶき』は、岡山県真庭市を舞台に、日本社会と家族制度の歪みに潜んだ悲劇と希望を描いた群像劇。かつて韓国の乗馬競技で将来を期待されていた男性チャンスは、父親の会社の倒産で多額の借金を負い、現在は真庭市の採石場でベトナム人労働者たちとともに働いている。一方、刑事の父親と2人で暮らす女子高生の山吹は、交差点でサイレントスタンディングを始める。2人とその周囲の人々の運命は、本人たちも知らない間に交錯していく。

 

本作では、チャンスを韓国出身の俳優カン・ユンス、山吹を『サマーフィルムにのって』の祷キララさんが演じる。監督・脚本は、真庭市で農業を営みながら映画制作を続ける山崎樹一郎さん。『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』のセバスチャン・ローデンバックがアニメーションパートを手がけ、フランソワ・トリュフォーら名だたる巨匠たちの作品に携わってきたヤン・ドゥデが編集協力した。

 

(C)2022 FILM UNION MANIWA SURVIVANCE

 

映画『やまぶき』は、関西では、11月12日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォ、京都・九条の京都みなみ会館、神戸・元町の元町映画館で公開。

田舎町にある風景の中で起こる出来事を淡々と描きながらも、登場人物達の感情が次第に押し寄せてくる本作。日々を実直に過ごしていく中で、どこかに光があると思えるような日々の中で、ある日、突然にも不条理に遭遇してしまう。大きな抵抗を起こすことが出来ずとも、小さくも静かな波を起こすことは出来る。僅かな波紋は大きくならずとも、観る者の心に一筋の光をもたらしてくれるかもしれない。2020年代を迎えても、16mmフィルムを用いた撮影を行い、さらついた映像の中に、混沌とした現代を写し取っていった。

 

タイトルの”やまぶき”は、主人公である少女の名前であると共に、黄金色に近い黄色の花が咲く植物として、細くしなやかな枝が風に振られて揺れ動く。花言葉は「気品」であり、大きく目立ちたがらずに力強く咲く花の姿が、祷キララさん演じる主人公の「山吹」と重なった。田舎町特有のムラ社会の中で慎ましく生きながらも抵抗する姿を凛とした視点で撮り切っている作品である。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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