我が家が一瞬にして地下500mに沈む…決死のサバイバルスリラー『奈落のマイホーム』がいよいよ劇場公開!
(C)2021 SHOWBOX AND THE TOWER PICTURES, INC. ALL RIGHTS RESERVED
大雨でソウルにできた陥没穴がマンションと住人たちを飲みこむ『奈落のマイホーム』が11月11日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『奈落のマイホーム』は、都会の中心に突如として現れた巨大な陥没穴「シンクホール」にマンションごと巻き込まれた人々の運命を描いた韓国発のサバイバルスリラー。平凡な会社員ドンウォンは11年の節約生活の末、ソウルの一等地にマンションを購入する。念願のマイホームに家族と引っ越した彼は同僚を招いてパーティを開くが、大雨でシンクホールが発生し、わずか1分でマンション全体が飲み込まれてしまう。反りの合わない隣人マンスや同僚たちと共に地下500メートルにまで落下したドンウォンは脱出するべく手を尽くすが、さらなる大雨によって穴は水で満たされていく。
本作では、『悪いやつら』のキム・ソンギュンがドンウォン、『ハイヒールの男』のチャ・スンウォンが隣人マンスを演じる。『ザ・タワー 超高層ビル大火災』『第7鉱区』のキム・ジフンが監督を務めた。
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映画『奈落のマイホーム』は、11月11日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条、兵庫・西宮のTOHOシネマズ西宮OSや神戸・岩屋の109シネマズHAT神戸や等で公開。
韓国でも富裕層と貧困層との二極化が進み、家を買うことは大多数の一般人には非常にハードルが高くなってきている。4人家族が半地下のみすぼらしい家につましく暮らす『パラサイト 半地下の家族』は記憶に新しい。
日本よりも物価がやや安い印象がある韓国だが、地価に関しては例外。歴代政権の不動産政策が裏目に出ていることや、資産家による投資目的での不動産購入が過熱していることで、地価は高騰の一途をたどっている。ソウル中心地のマンションは日本円にすると億を下らないレベルで、一般的な層には完全に手が届かないと言われて数年以上が経過している。そんな状況の中で、アラフォーの主人公ドンウォン(演じるキム・ソンギュンも1980年生まれ)が、決死の思いで購入したマイホーム。立地的には決して優良物件とは言えなさそう?と察せられる描写もあり、設備や広さにもちょっと心配になる面がある。それでも、やっとの思いで手に入れた「我が家」なのだ。
…という前提を踏まえて観ると「マイホームが突然地下に沈む」というのは、とても辛い状況なのが悲しいほど伝わってくる。夢と資産を同時に失うショックは文字通り絶望の底に突き落とされるようで不憫すぎて、キャッチコピーの「地下(価)、下落」も、単なるダジャレだと笑い飛ばしきれない。
なんだかシュンとしてしまいそうなお話の作品に聞こえてしまうかもしれないが、そこはさすがの韓国映画。こんなテーマを取り上げつつも、隣人達や離れ離れになった家族の人間ドラマ、縦穴に落ち込んだマンション内を立体的に駆け巡るサバイバルアクション、絶体絶命な場面でのシニカルな笑いを盛り込んで、きっちり楽しめるエンタテイメントに整えられている。ネタバレにならない範囲で言うと、ディザスター映画の古典的名作『ポセイドン・アドベンチャー』をちょっと思い出すような、各キャラの見せ場のバランスが適格で、ストーリーの緩急が豊かな構成だ。
映画を観る際に認識しておけば分かりやすくなる点として、通貨単位について付け加えるならば、2022年11月の現在ではかなり円安が進んでおり、ざっくり換算すると10ウォンは約1円。つまりウォン表記から一桁減らすと円になるので、「5,000万ウォン」ならおおよそ「500万円」くらいの感覚だと考えてもらって大きなブレはない。ドンウォンのマイホーム出費額は劇中のセリフに出てくるので、彼の買い物が幾らくらいのものなのかにも注目して観てみて頂きたい。
fromNZ2.0@エヌゼット
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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