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明治後期を舞台に、被差別部落出身で亡き父から出自を隠し通すよう戒めを受けた小学校教師の苦悩が綴られる『破戒』がいよいよ劇場公開!

2022年7月5日

(C)全国水平社創立100周年記念映画製作委員会

 

被差別部落出身という出自を隠し小学校の教壇に立つ教師の、身分違いの恋と、故郷を離れてもつきまとう、自らの出自に葛藤する姿を描く『破戒』が7月8日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『破戒』は、1948年に木下恵介監督、1962年に市川崑監督も映画化した島崎藤村の名作「破戒」を60年ぶりに映画化。亡くなった父から自身が被差別部落出身である出自を隠し通すよう強い戒めを受けていた瀬川丑松は、地元を離れてある小学校の教員として奉職する。教師としては生徒に慕われる丑松だったが、出自を隠していることに悩みを抱いている。下宿先の士族出身の女性である志保との恋に心を焦がす丑松だったが、やがて出自について周囲に疑念を抱かれるようになり、学校内での丑松の立場は危ういものになっていく。苦しみの中、丑松は被差別部落出身の思想家である猪子蓮太郎に傾倒していくが…

 

本作は、『東京リベンジャーズ』の間宮祥太朗さん主演で主人公の丑松役を演じるほか、志保役を石井杏奈さん、友人で同僚教師の銀之助役を矢本悠馬さん、猪子蓮太郎役を眞島秀和さんがそれぞれ演じる。監督は『発熱天使』の前田和男さんが務めた。

 

(C)全国水平社創立100周年記念映画製作委員会

 

映画『破戒』は、7月8日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の梅田ブルク7、京都・七条のT・ジョイ京都、神戸・岩屋の 109シネマズHAT神戸等で公開。

1948年に木下恵介監督で池辺良さん主演、1962年に市川崑監督で市川雷蔵さん主演で制作された島崎藤村の名作「破戒」。部落差別を題材にした作品であるが、今年は日本水平社が結成されて100周年を迎えるにあたり、製作された。

 

では、何故、令和の時代を迎えた今、映画化するのか。多様性を認めようとしている現在において、反する動きが大きくなったり同調圧力が高まったりするといった嫌な空気がある中で、本作の舞台となる1904年の日露戦争が激化し国家主義が台頭していた当時と共通する空気感があった、と云えるだろうか。されど、世の中に対し、自らの出自を明かし、主義主張を訴えていく者は存在しただろう。そういった活動家に感化され、本作の主人公は、被差別部落出身であることを明かすかどうか、十分に悩みながら立ち上がっていく。その先にある日本が歩む道を思えば、明るい未来は待っていないかもしれないが、普遍的なことを本作は描いており、今こそ読んだり観たりしておくべき作品と云えようか。『私のはなし 部落のはなし』という部落差別を学び直すドキュメンタリーが5月に公開されたばかりの今こそ観ておきたい作品である。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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