ホン・サンス監督作品『イントロダクション』『あなたの顔の前に』が2作同時劇場公開!
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ホン・サンス監督作品『イントロダクション』と『あなたの顔の前に』が6月24日(金)より全国の劇場で同時公開される。
映画『イントロダクション』は、独自のスタイルで国際的に高く評価される韓国の名匠ホン・サンスが、モラトリアムな時期をさまようひとりの青年をめぐる物語を、モノクロームの映像で詩情豊かにつづった青春映画。将来の進路も決まらず、何者にもなれずにいる青年ヨンホ。韓国とベルリンを舞台に、折り合いの悪い父、夢を追うため海外へと旅立った恋人ジュウォン、ヨンホの進路を心配する母との再会と3つの“抱擁”を通し、彼の人生をひも解いていく。ホン監督の前作『逃げた女』で印象を残したシン・ソクホが初主演を務め、『嬢さん』のキム・ミニ、『アバンチュールはパリで』のキム・ヨンホらが脇を固める。
映画『あなたの顔の前に』は、韓国の名匠ホン・サンスがベテラン女優イ・ヘヨンを主演に迎え、ひとりの中年女性の心の旅を描いたヒューマンドラマ。長い間アメリカで暮らしていた元女優のサンオクは、突然韓国に帰国し、妹ジョンオクのもとを訪れる。母を亡くして以来ずっと疎遠になっていた家族と再会するサンオクだったが、帰国の理由を明かそうとせず、その内面には深い葛藤が渦巻いていた。思い出の地を巡り、捨て去った過去と向き合いながら、心の拠りどころを見いだしていくサンオクの1日の出来事を描き出す。共演は『技術者たち』のチョ・ユニ、『夜の浜辺でひとり』のクォン・ヘヒョ、『はちどり』のキム・セビョク。ホン監督の公私にわたるパートナーである女優キム・ミニがプロダクションマネージャーを務めた。
映画『イントロダクション』『あなたの顔の前に』は、6月24日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のテアトル梅田、京都・烏丸御池のアップリンク京都、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
近年の日本においては立て続けに劇場公開されているホン・サンス監督作品。今年は2作品同時公開である。共通している事項も多いが、どちらも強く惹き込まれる作品だ。
焼酎の瓶が多く並ぶ酒席での会話劇は、初期の監督作品から定番であり、物語が大きく動いていきそうな気配を感じさせる。また、主人公を中心としたモノローグには、自らの生き方に苛まれ神への祈りまで映し出されていく。登場人物の過去に一体何があったのか、想起させる出来事が本作では描かれているようにも感じた。だからといって、救済の物語ではないようにも感じ得る。そして、ホームビデオを見せられているようにも感じてしまうズームイン/ズームアウトの多用。監督の意図をいくらでも考えてしまう。すると、次第に本作のおもしろさや醍醐味が分かってくる。…と思っていたら、ひょっとしたら、これは夢だったのか!?、という展開にも。先の見えない時代に対する不安がある中で、どのように生きていくか、そっと伝えてくれる作品達であった。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
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