麻薬犯罪撲滅を進めるフィリピンを舞台にしたブラックコメディ『ビッグ・ナイト』が第１７回大阪アジアン映画祭のコンペティション部門で日本初上映！
麻薬犯罪撲滅を進めるドゥテルテ大統領下のフィリピンを舞台にしたブラックコメディ『ビッグ・ナイト』が第１７回大阪アジアン映画祭のコンペティション部門で日本初上映された。
映画『ビッグ・ナイト』…
スラム街のサロンで働くゲイの美容師、ダルナは、ある日、村の麻薬常習者リスト（ブラックリスト）に自分の名前が載ったことを知らされ、愕然とする。国家警察へ届くまでにリストから名前を外さなければ、信用を失くすだけでなく命の保証もない。身の潔白を訴えるダルナは、リストに載せた人物を探し出すべく奔走するが、残された時間はわずかだった。
本作を手掛けたジュン・ロブレス・ラナ監督は、東京国際映画祭（ＴＩＦＦ）観客賞受賞の『ダイ・ビューティフル』（２０１６）で助演を務めたクリスチャン・バブレスを、精神的に追い詰められていくダルナに起用。また『ある理髪師の物語』（２０１３）でＴＩＦＦの最優秀女優賞を受賞したユージン・ドミンゴが、ダルナの運命を翻弄するマダム役を好演している。
映画『ビッグ・ナイト』は、３月１７日（木）１６：１５よりＡＢＣホールでも上映。
ある日、麻薬常習者リスト（ブラックリスト）に自分の名前が載ったことを知らされたら…どれだけゾッとするだろうか。そもそも、誰が何のためにリストに入れようとしただろう。無実を証明すること、つまり、麻薬を持っていないことを証明することがどれだけ大変なことか、と想像してしまう。如何にしてヒットマンから逃れることが出来るだろうか。いつ殺されるか分からない。フィリピンで実際に起こっていることを実際に映画化することが出来た能力や意欲に拍手を送りたい。
とはいえ、シリアスなことが描かれながらも、本作はブラックコメディである。コンスタントに笑えるシーンが盛り込まれていた。だが、冷静に考えてみると、フィリピンの自国で観ている人にとっては、作中で笑うことが自分自身が笑われている、ということにもなる。どれだけ皮肉が込められたコメディだろうか、と気づかされた。最終的にターゲットにされた主人公のことを思うと憤りしか考えられないが、これが生きていくことであり、世界に実際に存在する闇とは背中合わせであることを実感させられた次第だ。
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