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ビリー・ホリデイと合衆国の対決を描くサスペンス『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』がいよいよ劇場公開!

2022年2月8日

(C)2021 BILLIE HOLIDAY FILMS, LLC.

 

人種差別を告発する“奇妙な果実”を歌い続けたビリー・ホリデイとFBIの攻防を描く『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』が2月11日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』は、1959年に44歳の若さで死去したアメリカジャズ界の伝説的歌手ビリー・ホリデイを描いた伝記ドラマ。人種差別を告発する楽曲「奇妙な果実」を歌い続けたことで、FBIのターゲットとして追われていたエピソードに焦点を当て、彼女の短くも波乱に満ちた生涯を描き出す。1940年代、人種差別の撤廃を求める人々が国に立ち向かった公民権運動の黎明期。合衆国政府から反乱の芽を潰すよう命じられていたFBIは、絶大な人気を誇る黒人ジャズシンガー、ビリー・ホリデイの大ヒット曲「奇妙な果実」が人々を扇動すると危険視し、彼女にターゲットを絞る。おとり捜査官としてビリーのもとに送り込まれた黒人の捜査官ジミー・フレッチャーは、肌の色や身分の違いも越えて人々を魅了し、逆境に立つほど輝くビリーのステージパフォーマンスにひかれ、次第に彼女に心酔していく。しかし、その先には、FBIの仕かけた罠や陰謀が待ち受けていた。

 

本作は、『プレシャス』『大統領の執事の涙』のリー・ダニエルズ監督が手掛け、脚本は、ピュリッツァー賞を受賞した劇作家のスーザン=ロリ・パークス。グラミー賞ノミネート歴もあるR&Bシンガーのアンドラ・デイがホリデイ役を演じ、劇中のパフォーマンスも担当。第78回ゴールデングローブ賞で最優秀主演女優賞(ドラマ部門)を受賞し、第93回アカデミー主演女優賞にもノミネートされた。

 

(C)2021 BILLIE HOLIDAY FILMS, LLC.

 

映画『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』は、2月11日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都、神戸・三宮の神戸国際松竹などで公開。

不世出のジャズシンガーと云われるビリー・ホリデイ。彼女が”合衆国”からの度重なる圧力と戦っていたと改めて知らされる本作。1930年代から活動を始め、本作の舞台となる1947年には、人気の絶頂にいた。当時としては珍しい白人と黒人が同席できるニューヨークのクラブ「カフェ・ソサエティ」で圧巻のパフォーマンスで人気を博していたことを伝記映画ではあるが、改めて認識される。だが、知られざる壮絶な体験をしていたことを黒人差別を以て突きつけられた。

 

合衆国南部において、黒人がリンチに遭い、なぶり殺しにされた挙句、木に吊るされさらし者にされる実態を、勅諭の如く表現した楽曲「奇妙な果実」。歌詞の意味を知れば知るほど、どれだけの差別や迫害を受けていたのか…と思うとゾッとする。白人のお客さんを前にしても「奇妙な果実」を歌っていたことを考えると、どれだけの屈強な精神があったのか、と驚くばかり。だが、FBIにとっては都合が悪く、黒人の捜査官によるおとり捜査を仕組む底意地の悪さ。なんとも腹立たしい。されど、黒人捜査官は同胞である。作中の台詞には、ニグロ (Negro) という言葉が象徴的に用いられていた。黒色人種を意味する学術用語であり、日常用いられる言葉としては好ましい言葉ではない。黒色人種同士の会話なら主義主張を同じとする親友のニュアンスを含むが、白色人種の人間が黒色人種の人間に向かって言ったら、なおさら差別表現となる。

 

権力に対して決して屈せずに生きながらも、身を粉にして歌い続けたビリー・ホリデイが歩んだ道の最後は壮絶で切なすぎた。彼女を追い込んだものが何であるか、しっかりと見届け理解してほしい。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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