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奈良はこんなにも美しく、温かい人々がいる街なんだ『再会の奈良』河瀨直美さんを迎え舞台挨拶開催!

2022年1月29日

中国人の老婆が、日本に帰国後行方が分からなくなった養女を探す姿を温かな目線で映しだす『再会の奈良』が2月4日(金)より全国の劇場で順次公開。1月29日(土)には、舞台となった奈良県で1月28日(金)より先行公開中のシネマサンシャイン大和郡山にて本作のエグゼクティブプロデューサーを務めた映画監督の河瀨直美さんが登壇し、本作の製作を手掛けた背景や本作への想いを語った。

 

映画『再会の奈良』は、河瀬直美さんとジャ・ジャンクーがプロデュースを務め、中国残留孤児の家族の絆を描いた日中合作映画。2005年、中国に暮らす陳ばあちゃんが、孫娘のような存在のシャオザーを頼って単身奈良にやって来た。1994年に日本に帰した中国残留孤児の養女である麗華からの連絡が数年前から途絶え、それを心配してやって来たという。麗華を捜し始めた2人は、一雄という男性と偶然に知り合い、元警察官だという一雄は麗華捜しの手伝いを申し出る。奈良の御所を舞台に、 不思議な縁で結ばれた3人は、言葉の壁を越えた心温まる旅を繰り広げる。
一雄役を國村隼さん、陳ばあちゃん役を『妻の愛、娘の時』のウー・イエンシュー、シャオザー役を中国で注目の若手女優イン・ズーがそれぞれ演じるほか、永瀬正敏さん、「劇団EXILE」の秋山真太郎さんらが顔をそろえる。監督はツァイ・ミンリャン監督作で助監督や共同脚本などを務めてきた新鋭ポンフェイ。

 

上映後、河瀨直美さんは登壇するや「このご時世の中、足をお運び頂きありがとうございます。最後のテレサ・テンさんの歌にも込められているように、別れながらも同じ道や未来を歩んでいくんだというポンフェイ監督のメッセージや想いを改めて感じました」と会場の客席に向かって感謝を述べた。「なら国際映画祭で『再会の奈良』が観客賞を受賞したことでポンフェイ監督に就任が決まり、プロジェクトが始まりました。中国と日本の懸け橋になりたいという彼の想いがこの作品には込められていたと思います。30代のポンフェイ監督が奈良県御所市で、沢山の方々の支援によってこの作品を作れたことは、なら国際映画祭としても感無量です。奈良がこんなにも美しく、温かい人々がいる街なんだということが世界に発信されたのではないかと思っています。」と挨拶をすると、鑑賞後の会場からは大きな拍手が贈られた。

 

中国のジャ・ジャンク―監督とともにエグゼクティブプロデューサーとして本作に関わったことについて、河瀨さんは「古くから付き合いがありますが、ジャ・ジャンクー自身も中国国内で小さな映画祭を企画していて、若い監督にチャンスを与える活動をしています。若い監督が映画を作ることやお金を集めることは、とても困難なことです。わたし自身もなら国際映画祭で、将来の映画文化を担う若手育成の取り組みをしていたので、いつか一緒に誰かをプロデュースしたいねと話していました。そうした時にポンフェイ監督が本作で観客賞を受けたことがきっかけで、NARAtiveの監督に就任した時、すぐにジャ・ジャンクーに連絡をしました。本作は、ジャ・ジャンクーが中国で資金を集め、日本では私が資金集めをしました。彼はライバルでもあり、親しい友人でもあります」と明かす。

 

印象的なエピソードについて、河瀨さんは「ポンフェイ監督が本作でサプライズ出演している」とを明かすと、上映後の会場からは驚きの声があがる。「あのシーンって実は、中国人同士がやりとりしているシーンなんです!言葉を必要としないでユーモアのある撮影ができる。それがポンフェイなんです!だから、ある時期から一切撮影には口出しをしないようにしました。私は、國村隼さんのキャスティングをしたり、永瀬くんにも友情出演してもらったりとプロデュース業に専念させて頂きました」と述べた。なお、撮影場所にもなった御所市から沢山のお客様が来場しており「日中国交正常化50周年という節目で残留孤児について描くことはとても繊細な事で、ポンフェイ監督と、奈良に住んでいる残留孤児の方々にたくさん取材しました。少し難しいと感じてしまうテーマですが、歴史的背景をポップなアニメで表現するなど、優れた素晴らしい表現をしてくれました」と感謝している。

 

NARAtiveの次回作について聞かれ「次回は川上村です!」と発表すると客席からは大きな拍手が上がった。「初めて学生部門から20代の監督が決まりました。林業が盛んな山村地域ですが、日本の林業が衰退していく中で、未来へ繋げたい、続けていきたいという切実な想いが込められています。」と意気込みを語る。さらに、ポンフェイ監督からビデオメッセージもあり、メッセージを受けた河瀨さんは「コロナ禍の時代に生きたみんなと共に、次の人たちに大事なことを渡していきたい。日中国交正常化50年の節目にこの作品を皆様に届けられることは、意味のあることだなと思います」と熱く語り、舞台挨拶は締締め括られた。

 

映画『再会の奈良』は、2月4日(金)より全国の劇場で順次公開。関西では、関西では、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、京都・烏丸の京都シネマ、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸などで公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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