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私達の世代が世界に向けて平和に対する思いを伝えていかないといけない…『8時15分 ヒロシマ 父から娘へ』美甘章子さんに聞く!

2021年7月30日

(C)815 Documentary, LLC

 

広島の原子爆弾で被爆した父を持つ、美甘章子さん原作「8時15分 ヒロシマで生き抜いて許す心」を基にした、アメリカ製作のドキュメントドラマ『8時15分 ヒロシマ 父から娘へ』が7月31日(土)より全国の劇場で公開。今回、美甘章子さんにインタビューを行った。

 

映画『8時15分 ヒロシマ 父から娘へ』は、広島に投下された原子爆弾を至近距離で被爆した父の凄絶な体験をつづった美甘章子のノンフィクション「8時15分 ヒロシマで生きぬいて許す心」を映画化。著者自らエグゼクティブプロデューサーを務め、地獄のような状況にあっても生きることを諦めなかった父の思いと、父から娘へ受け継がれた平和へのメッセージを描く。1945年8月6日、広島。父とともに建物疎開の準備をしていた19歳の美甘進示は、自宅の屋根に上り瓦を剥がしていた。その時、激しい光が進示を襲い、一瞬にして暗闇の中へと突き落とす。世界で初めて投下された原子爆弾は広島中を焼き尽くし、7万人以上もの命を奪った。焼けただれた体を引きずりながら助けを求めてさまよう進示は、激痛から解放されたい一心で死さえ願うが、父の力強い言葉に支えられ、懸命に前へ進むのだった。それから40年後、進示の平和への願いが形となってニューヨークの国連本部に届く。しかしその数年後、ニューヨークを訪れた進示の娘・章子は驚くべき事実を知る。

 

自身の父親が体験したことを書籍や映像にするにあたり、父親からの反対は一切なかった。言葉はなくとも「私に託していた」と感じ取り、年老いていく姿から「いつか私はいなくなる。あなた達の世代が世界に向けて平和に対する思いを伝えていかないといけない」とメッセージを受け取った。本を書くことに対して喜んでもらい「言語は絶対に英語で書いてくれ」と受け「日本語なら、日本人と日本語が分かる数少ない人しか読めない。英語なら世界中でより多くの方が読める」と確信。世界に向けて出版した後に「日本語で読みたい」という要望を受け、翌年に日本語版を出版した。

 

映像化にあたり、まず、ハリウッドでの劇映画プロジェクトに着手していく。だが、膨大な時間とお金が必要であるため「昨年の戦後75周年を節目にして、オリンピックによって世界が日本に注目する中で、若者に向けて自分ができることはないか」と検討。ビジュアル的な作品が必要だと考え、アップグレードした英語版を出版し、内容を要約した17分程度のドキュメンタリーを構想していく。本作の監督であるJ・R・ヘッフェルフィンガーやプロデューサーのニニ・レ・フュインと話しながら「若者にインパクトを与えるには、再現ドラマが必要だ」とアイデアを頂き、さらに構成を共に練っていった。

 

エグゼクティブプロデューサーである美甘さんは2人と共に考え、提案頂いたアイデアについて実現可能か考え意思決定をしていく。アイデアは様々な方から受け取り、本作の内容を充実させている。限られた予算規模の中で、本当はもっと様々なドラマチックなエピソードを本作に取り入れたかったが「トッププライオリティなものに限られてしまう。これがないと映画が意味を成さないところしか盛り込んでいない」と苦渋の決断をしている。なお、ヘッフェルフィンガー監督が以前に撮った短編を観ており「心の奥底に響く内容だった。私が世界に伝えたい、人間性や親子愛を凝縮した短編でした。この人なら私が思い描いた作品を作ってくれる」と信頼。そこで、ニューヨークから共に広島へ向かい、ロケハンをしたりリサーチをしたりして共に更なる構想を練り、ロケーションシューティングやスタジオ撮影を進めていった。

 

完成した本作は、各種の映画祭に出品。コロナ禍の状況下、オンライン開催となり、アメリカ全土から視聴可能となった。視聴者の反応は好評で観客賞を頂いており「至近距離で被曝した方の体験談を初めて聞いた」という反応も得ている。また、原爆によって全滅し生き残った方がいたことを知らなかった若者もいるという事実に直面するが「衝撃だったと同時に逆境の中を生き延びた事実に心を打たれた」という感想に意識の高さを感じた。「若者はフラットに感じますね。歴史の中にある一つの出来事だと受けとめている」と感じると共に「40代後半以上の方達は、祖父が太平洋戦争に行っており、原爆により死なずに帰ってこられた」と捉えている方もいると理解している。

 

なお、今は亡き父親の生前時、本作を観てもらっており「病院でうつらうつらしながら、トラウマを呼び起こすシーンは抑えながら、叱咤激励するシーンは涙がすぅ〜っと落ちましたね」と回想。本作によって初めて劇場公開作品の製作にメインとして関わり「分からないことだらけの状態で学びながら、取り組みました。リソースが整えば、ハリウッド版劇映画をやってみたい」と未来を見据えている。

 

映画『8時15分 ヒロシマ 父から娘へ』は、7月31日(土)より全国の劇場で公開。関西では7月31日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場、8月13日(金)より京都・烏丸の京都シネマ、8月14日(土)より神戸・新開地の神戸アートビレッジセンターで公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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