夫から突然の離婚宣言…監督の実体験をもとに熟年離婚を描いた『幸せの答え合わせ』がいよいよ劇場公開!
(C) Immersiverse Limited 2018
夫が突然切り出した離婚話をきっかけに、家族がそれぞれ新たな道を踏み出そうとする様を描く『幸せの答え合わせ』が6月4日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『幸せの答え合わせ』は、もうすぐ結婚29周年を迎えようとしていた夫妻と一人息子の姿が描かれる家族ドラマ。イギリス南部にある海辺の町シーフォードで暮らすグレースとエドワードは、もうすぐ結婚29周年を迎えようとしていた。独立して家を出た一人息子のジェイミーが久しぶりに帰郷した週末のこと、エドワードは突然「家を出て行く」とグレースに別れを告げる。その理由を聞いてグレースは絶望と怒りに支配され、そんな母を支えるジェイミーも自身の生き方や人間関係を見つめ直していく。
本作では、オスカー女優のアネット・ベニングとビル・ナイが離婚の危機を迎えた熟年夫婦を演じ、『ゴッズ・オウン・カントリー』のジョシュ・オコナーが息子役で共演。『グラディエーター』『永遠(とわ)の愛に生きて』でアカデミー脚本賞に2度ノミネートされたウィリアム・ニコルソンが、自身の実体験をベースに脚本を執筆し、自ら監督も手がけた。
(C) Immersiverse Limited 2018
映画『幸せの答え合わせ』は、6月4日(金)より全国の劇場で公開。関西では、6月4日(金)より京都・烏丸御池のアップリンク京都、6月25日(金)より神戸・三宮のシネ・リーブル神戸にて公開。また、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田でも近日公開予定。
ホープ・ギャップと名づけられた入江のある町に住む老夫婦。ごく普通の、少し喧嘩の耐えない風景。しかし、お互いがいつの間にか別々の道を歩いていたことに妻グレースは夫の離婚宣言で気づかされる。突然の告白、青天の霹靂。受け止めきれない感情に荒れる母を支える息子のジェイミー。だが、ジェイミーには父であるエドワードの気持ちも痛いほど理解できる。だからこそ、自分なりに受け止めよう、と息子なりに努力するしかない。会話の端々から、夫婦二人の違いを痛いほど感じさせられた。常に自信があり、自分の考えることが正しいと疑わないグレースと物静かなエドワード。一見、相性が良さそうなのに何を掛け違えたのか、と考えてみる。自身の行いを全く反省せず、何が間違っていたのか考えることもしないグレース。エドワードに理想像を押し付けていただろうか。もし、もう少し相手の気持ちに寄り添えていたら、最悪の事態を避けられたかもしれない。何度も繰り返される対話の中で、ジェイミーが放つ「母さん、父さんは恋してるんだ!」の一言が全てを強く印象づけていく。
本作では、ステレオタイプな夫婦の破局よりも一歩も二歩も踏み越えた姿を描いている。人間の内面が静かでありながら感情的に映し出す。夫と妻、どちらにも非があり、また非がないといえばない、と感じてしまう。白黒はっきりつけられないところが却って良い。離婚にありがちな「一方が悪い」といったアンバランスなパワー関係は皆無だ。父と母がいる身にとっては正解がなく、強く考えさせられる作品となっている。
from君山
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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