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ホロコースト逃れた少女と医師が心通わす『この世界に残されて』が関西の劇場でもいよいよ公開!

2020年12月27日

(C)Inforg-M&M Film 2019

 

ナチス・ドイツによって約56万人ものユダヤ人が殺害されたと言われるハンガリーの歴史を背景に、ホロコーストで家族を失った孤独な医師と少女の心の結びつきを描き出す『この世界に残されて』が2021年1月1日(金)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『この世界に残されて』は、ナチスドイツにより約56万人ものユダヤ人が虐殺されたと言われるハンガリーを舞台に、ホロコーストで心に深い傷を負った孤独な男女が年齢差を超えて痛みを分かち合い、互いに寄り添いながら希望を見いだしていく姿を描いたハンガリー映画。1948年、ホロコーストを生き延びたものの家族を失った16歳の少女クララは、42歳の寡黙な医師アルドと出会う。クララはアルドの心に自分と同じ欠落を感じ取り、父を慕うように彼に懐く。同じくホロコーストの犠牲者だったアルドも、クララを保護することで人生を取り戻そうとする。しかしソ連がハンガリーで権力を掌握すると、世間は彼らに対してスキャンダラスな誤解を抱くように。そして2人の関係も、時の流れと共に変化していく。

 

本作でクララを演じたのは、映画初主演のアビゲール・セーケ。カーロイ・ハイデュクがアルドを演じ、ハンガリーアカデミー賞およびハンガリー映画批評家賞で最優秀男優賞を受賞した。これまで主に短編映画を手がけてきたバルナバーシュ・トートが監督を務め、『心と体と』のモーニカ・メーチとエルヌー・メシュテルハーズィが製作を手がけている。

 

(C)Inforg-M&M Film 2019

 

映画『この世界に残されて』は、関西では2021年1月1日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田と神戸・三宮のシネ・リーブル神戸、1月2日(土)より京都・烏丸の京都シネマで公開。

描き方がとても上品だ、という好印象が強く残った。大切な人たちをホロコーストで奪われて、この世に残されてしまった主人公の二人。彼らを映す空気は悲しみに満ちながらも、少しだけ暖かく、去ってしまった人々のことを束の間振り返る描写は、とてもさりげなくて優しい。アラフォーの中年と10代の少女、という喪失感を抱えて寄り添う二人の描写は、もっと疑似恋愛的な雰囲気が出てしまうだろうかと気にしていたが、そんな心配は無用だった。家族のようであり、同じものに向き合う同士のようであり、ただひたすら温かく、対等にクララに接するアルドの姿は崇高だ。多くは語らず、説明しすぎず、わずかな表情と仕草で語るカーロイ・ハイデュクの演技が素晴らしい。

 

ハンガリー語の原題「akik maradtak」は英訳すると「who remained」。「残された者たち」という言葉は、そのままに邦題にもこめられている。重いテーマながら身体的にも精神的にも直接的に残酷なシーンはないと言い切れるので、戦争ものが苦手な方にも安心して観ていただきたい。

fromNZ2.0@エヌゼット

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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