バラバラな家族を料理でひとつに…!『エイブのキッチンストーリー』が関西の劇場でもいよいよ公開!
(C)2019 Spray Filmes S.A.
イスラエル人の母とパレスチナ人の父を持つ少年の料理に込めた情熱を描く『エイブのキッチンストーリー』が、11月27日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『エイブのキッチンストーリー』は、異なる文化を背景にもつため対立しがちな家族の絆を、手作り料理でつなげようと奮闘する少年の成長を描いたヒューマンドラマ。ニューヨーク・ブリックリンに暮らし、イスラエル人の母とパレスチナ人の父を持つ12歳のエイブは、文化や宗教の違いから対立する家族に悩まされるなか、料理を作ることを唯一の心の拠りどころにしていた。そんな自分のことは誰にも理解してもらえないと思っていたエイブは、ある日、世界各地の味を掛け合わせた「フュージョン料理」を作るブラジル人シェフのチコと出会う。フュージョン料理を自身の複雑な背景と重ね合わせたエイブは、自分にしか作れない料理で家族をひとつにしようと決意する。
本作は、Netflixの大ヒットシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のウィル役で知られるノア・シュナップが映画初主演を務め、等身大の少年エイブを好演。ブラジル人の映画監督で、YouTuberや雑誌記者などの顔ももつフェルナンド・グロスタイン・アンドラーデが、自身の半生をベースに描いた。
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映画『エイブのキッチンストーリー』は、11月27日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田、京都・烏丸の京都シネマ、神戸・三宮のOSシネマズミント神戸で公開。
タイトルとポスタービジュアルだけだと、少年が得意な料理を活かして家族を助けるようなストーリーかと思ってしまうかもしれない。勿論、そんな単純なストーリーではない。イスラエル人の母とパレスチナ人の父を持つ12歳のエイブにとっては、両親の家族が揃う食事の風景は一大事。ユダヤ教とイスラム教の下で生活してきた人達では文化や宗教観は大いに違う。エイブは料理を通して繋ごうとするが構ってもらえない。ならば、双方を出来る限り理解した上で、改めて料理を用いて仲良く出来ないかと果敢に挑戦していく。そんな中で出会ったのがブラジル人のストリートシェフ。監督自身はブラジルのサンパウロ出身で、ユダヤ人とカトリック系ブラジル移民の孫である。まさにエイブと重なっている要素は十分にあると同時に、大人の視点をシェフに取り入れていた。エイブが孤軍奮闘しないように冷静に判断できるシェフの存在は誰よりも頼もしく描かれていた。
舞台となったのはニューヨークのブルックリン。多様な人種・民族の方々が住んでおり、かつてのアメリカン・ドリームを叶えようと集まった人達によって形成されてきた街である。互いの違いを認め合い理解していけば、かつてなかったような融合(fusion)が発生し、新たな文化が起きていく。されど、一歩間違えば、混乱(confusion)しかない。これは料理においても同じ。エイブは、双方の料理が備える特徴を活かし、さらなる別の要素も加えて、ブルックリンを体現するようなレシピを編み出していく。一人の少年が挑んだチャレンジを大いに応援していきたいと思える作品をどうぞご堪能あれ。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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