北海道の湿原に建つラブホテルでの人生模様を描く『ホテルローヤル』がいよいよ劇場公開!
(C)桜木紫乃/集英社 (C)2020 映画「ホテルローヤル」製作委員会
問題を抱えるラブホテルを舞台に、ホテルを訪れる男女と従業員の人生模様を、経営者家族の一人娘の姿を主軸に描く『ホテルローヤル』が、11月13日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『ホテルローヤル』は、北海道の湿原に建つラブホテルを舞台にした群像劇。北海道の釧路湿原を背に建つ小さなラブホテル、ホテルローヤル。経営者家族の一人娘・雅代は美大受験に失敗し、ホテルの仕事を手伝うことに。アダルトグッズ会社の営業・宮川に淡い恋心を抱きながらも何も言い出せず、黙々と仕事をこなすだけの日々。そんな中、ホテルにはひとときの非日常を求めて様々な客が訪れる。ある日、ホテルの一室で心中事件が起こり、雅代たちはマスコミの標的となってしまう。さらに父が病に倒れ家業を継ぐことになった雅代は、初めて自分の人生に向き合うことを決意する。
本作は、直木賞を受賞した桜木紫乃さんの自伝的小説を『百円の恋』『全裸監督』の武正晴監督が映画化。波瑠さんが主演を務め、松山ケンイチさん、安田顕さんが共演。脚本は『手紙』『イエスタデイズ』の清水友佳子さん。
(C)桜木紫乃/集英社 (C)2020 映画「ホテルローヤル」製作委員会
映画『ホテルローヤル』は、11月13日(金)より全国の劇場で公開。
ラブホテルに2時間3800円で楽しめる非日常を求めてやってくるお客さん。人生の悲喜こもごもを捉えたエピソードを見ていると、ラブホテルで過ごす時間があってもいいじゃないか、と思えてしまう。しかし、非日常を作り上げているラブホテルの従業員にとっては日常でしかない。ボイラー室の配管を通してお客さん達の様子が聞こえてくることも当たり前。楽しそうに聞いている時があれば、しみじみと感じている時もある。リアクションを見ていると、日常を生きる人々は味わい深い、と改めて感じてしまう。
なお、本作は、原作者である桜木紫乃さんの自伝的小説。桜木さんの父親が釧路町に「ホテルローヤル」というラブホテルを開業し、桜木さん自身が部屋の掃除などで家業を手伝っていたと知り、彼女でしか書き得ない作品だと驚かされた。自身がモデルである雅代を波瑠さんが演じ、父親を安田顕さんが演じる。なんと幸せな出来事だろうか。特殊メイクが施された安田顕さんを見て、まさに父親だと感じ太鼓判を押しており、不器用な父親を演じた技量を存分に観てほしい。
決してハッピーエンドではない本作。でも、最後まで観ると、なぜか清々しい気分になってしまった。様々な喜怒哀楽ある経験をしてきた人達が今作を観て、次の新たなステップに向かっていけるようになれば、充実した非日常な時間を過ごしたことになるだろう。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
- 最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!