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息子を失った女性の希望と再生描く『おもかげ』がいよいよ劇場公開!

2020年10月21日

(C)Manolo Pavon

 

幼い息子を失ったひとりの女性が悲しみを乗り越え、生きる希望を見い出していく過程が描かれる『おもかげ』が、10月23日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『おもかげ』は、幼い息子を失った女性の希望と再生の旅路を描いたミステリードラマ。エレナは元夫と旅行中の6歳の息子から「パパが戻ってこない」という電話を受ける。人気のないフランスの海辺から掛かってきたその電話が、息子の声を聞いた最後だった。10年後、エレナはその海辺のレストランで働いていた。ある日、彼女の前に息子の面影を持つ少年ジャンが現れる。エレナを慕うジャンは彼女のもとを頻繁に訪れるようになるが、2人の関係は周囲に混乱と戸惑いをもたらしていく。

 

本作は、スペインの新鋭ロドリゴ・ソロゴイェン監督が、2017年に製作しアカデミー賞短編実写映画賞にノミネートされた短編『Madre』をオープニングシーンとして使用し、息子を失った女性の“その先”の物語を描き出す。第76回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門に出品され、エレナ役のマルタ・ニエトが主演女優賞を受賞。

 

(C)Manolo Pavon

 

映画『おもかげ』は、10月23日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田と京都・烏丸の京都シネマ、11月20日(金)より兵庫・宝塚のシネ・ピピアで公開。また、神戸・元町の元町映画館でも順次公開。

最初に作られた短編『Madre』は、「パパが戻ってこない」と息子から連絡を受けて、最終的にどうなったのか分からず終わっていく。電池残量わずかな携帯電話から聞こえる不安な声は十分に緊張感があり、考えれば考える程ミニマムで最大限の表現力のある作品として構築されている。その先を存分に描いた本作は、実に切ない人間ドラマとして描かれていた。

 

ある日、街中でかつての親しき知人によく似た人物を見てしまったら、気になってしまうだろう。それが、自身の子供が成長した姿だと思しき人間だったとしたら、声をかけざるを得ない。だが、それは決して開けてはならないパンドラの箱だったとしたら…最終的に絶望しか残らない経験になり得てしまう。本作の主人公、エレナは既に自身がどういう経験をしたか既に知られていた。本当は皆が守ってあげるべき経験をしているはずなのに、一歩間違えてしまうと異常者として扱われてしまう。されど、エレナは僅かな希望を求めて駆け出していく。その姿はなんとも切なくなってしまう。絶望を経験してしまった人間は、生涯かけて十字架を背負わなければいけないのか。最終的にエレナが幸せな日々を過ごしていくことを願ってやまない限り。家族や親類をなくした経験をしたことがある全ての人達に送りたい作品でありました。

 

 

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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