Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

  • facebook

小堀遠州と松花堂昭乗による友情に思いを馳せてもらえたら…『空中茶室を夢みた男』田中千世子監督に聞く!

2020年2月7日

江戸初期に文化人として活躍した松花堂昭乗と“日本のレオナルド・ダ・ビンチ“と評される大名茶人・小堀遠州が作り上げた“空中茶室“をめぐる記憶に迫る『空中茶室を夢みた男』が2月8日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォで公開。今回、田中千世子監督にインタビューを行った。

 

映画『空中茶室を夢みた男』は、江戸時代初期に2人の粋人によって作られた空中茶室をめぐるドキュメンタリー。備中松山藩主、近江小室藩主と大名でありながら、築城から作庭までを指揮し、書家としても活躍するなど、日本のレオナルド・ダ・ビンチと評される茶人・小堀遠州。江戸初期随一の文化人とうたわれ、天皇家と将軍家の公武融和に尽力し、松花堂弁当の名前の由来ともなった石清水八幡宮の社僧・松花堂昭乗。芸術仲間であり、心の友でもあった2人は、現在の京都府八幡市にある石清水八幡宮の山腹に、空中茶室・閑雲軒を作り上げた。現在の石清水八幡宮の美しい風景などを織り込みながら、江戸時代に描かれた絵図や識者などの証言から1773年に消失してしまった究極の茶室への思いをめぐらせていく。

 

小堀遠州に関心を持ったプロデューサーの話を聞き、田中監督も興味を持ち様々なことを調べたり、本を読んだりしていった。また、遠州の友人が松花堂昭乗だったと知り、さらに興味を膨らませていく。すると、京都府八幡市の松花堂美術館には松花堂昭乗研究所があり、勉強会の存在を知って実際に伺った。数年間かけて通い古文書を読みながらいくうちに映画化の兆しが見えていく。研究所の方や学芸員の話を聞きながら少しずつ撮影し、最終的に構成を整えるために専門家の話を取り入れており「遠州流の家元に出演して頂いたことは大きかった」と感じている。

 

松花堂昭乗と小堀遠州の2人の友情は文化的な面でも結ばれており、政治的にも公武合体が行われていた。徳川家康や徳川家光による徳川政権のプランであったため「公家は毛嫌っていたようですが、時代のパワーゲームに入らざるを得なかったようだ」と田中監督は理解を示す。なお、政治的背景は可能な限りは本作に取り入れておらず「松花堂昭乗を知ってもらうことが大事なので、複雑な内容にはしていない」と意図を語る。小堀遠州は、大名でありながら、将軍にも茶道を教えらえる偉人であったため「建築センスもあり、城造りや庭造り等もやっていた。その技術を以て空中茶室を作っている」と納得。空中茶室を作る裏側にあった背景に対し、様々な可能性があると想定しながら撮影し本作は出来上がった。

 

映画『空中茶室を夢みた男』は、2月8日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォで公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

Popular Posts