“壁ドン映画”の現場に悪霊…!?『ゴーストマスター』がいよいよ劇場公開!
(C)2019『ゴーストマスター』製作委員会
低予算映画の撮影現場を舞台に、サエない助監督の怨念が阿鼻叫喚の恐怖現象を引き起こす様を描き出す『ゴーストマスター』が、12月6日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『ゴーストマスター』は、悪霊によって地獄絵図と化した青春恋愛映画の撮影現場を舞台に描くホラーコメディ。映画撮影現場で助監督をしている黒沢明は、名前だけは「巨匠」の風格だが、頼まれると断れない性格で要領の悪い、B級ホラー好きの気弱な映画オタクだ。現在の黒沢が携わる「壁ドン」な青春恋愛映画の現場で、監督やスタッフからこき使われる日々を送っていた。いつか自分が監督となった日に撮ることを夢見て、書き温めていた「ゴーストマスター」の脚本は、黒沢の心の支えとして、いつも肌身離さずに持ち歩いていた。しかし、あまりの過酷な撮影現場でたまりにたまった黒沢の不満と怨念のような映画愛が「ゴーストマスター」の脚本に悪霊を宿してしまう。そして、脚本に宿った悪霊により、青春映画の撮影現場は凄惨な地獄絵図と化していく。
本作は、黒沢清監督に師事し、アメリカ人の父と日本人の母を持つヤング・ポール監督の長編デビュー作。三浦貴大さんと成海璃子さんがダブル主演を務め、板垣瑞生さん(M!LK)、永尾まりやさん、原嶋元久さん、寺中寿之さん、篠原信一さん、川瀬陽太さんらが出演する。
映画『ゴーストマスター』は、12月6日(金)より大阪・難波のなんばパークスシネマ、京都・九条の京都みなみ会館、12月7日(土)より、大阪・十三の第七藝術劇場、神戸・元町の元町映画館で公開。
壁ドンありのキラキラ青春映画(の現場)がどうやったら、ドロドロのバイオレンス映画になると思うだろうか。そんなバカみたい(誉め言葉)を自身の長編デビュー作で見事に体現したヤング・ポール監督に拍手を送りたい。というか、こんなのデビュー作でしか作れませんって!
数々のジャンル映画監督作品へのオマージュを見せながら、主人公の名前が「黒沢明」…ってどこからどうツッコミすればいいのか迷ってしまう。ここまで思い切ったバイオレンスな映像表現を見せてしまうと、基本的にはシリアスなシーンであるはずなのに笑いしか出てこない。そこが監督の狙いであると思うしかないか。様々なジャンルの映画が好きな人であるほど、監督が映画に懸ける愛情が伝わってきて「よくぞここまでやった」と拍手を思わざるを得ない。
なお、本作は、2016年の「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM」準グランプリ作品。今年公開された『ブルーアワーにぶっ飛ばす』と共に受賞した作品だ。ジャンルの大きな違いはあれど、若い才能がさらに斉唱していくことを楽しみにしたい。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
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