デリケートなテーマでも笑って楽しんで…『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』松重豊さんを迎え舞台挨拶付上映会開催!
突然妊活することになった49歳の夫とふた回り近く若い妻が直面する悲喜こもごもをユーモアを交えながら描く『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』が10月4日(金)より全国の劇場で公開される。本公開に先駆け、9月25日(水)には、大阪・難波のなんばパークスシネマに松重豊さんを迎え、舞台挨拶付上映会が開催された。
映画『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』は、作家のヒキタクニオが自身の体験をもとにつづった同名エッセイを映画化。本作が映画初主演となる名バイプレイヤーの松重豊が主人公となるヒキタクニオに扮し、妻サチ役の北川景子と年の差夫婦を演じた。49歳の作家ヒキタクニオは、年下の妻サチと2人で仲良く暮らしている。子どもは作らず2人だけで生きていこうと考えていたが、サチの言葉をきっかけに妊活を始めることに。しかしなかなか結果は出ず、クリニックで検査してみると、不妊の原因がクニオにあることが判明する。2人はショックを受けながらも現実を受け止め、夫婦で力を合わせて全力で妊活に取り組んでいく。
『ぱいかじ南海作戦』『オケ老人!』の細川徹監督が、男性不妊に直面しながらも明るく前向きに乗り越えようとするヒキタ夫妻の姿をユーモラスかつ叙情的に描いた。
上映前に、松重豊さんが登壇。今回、松重さんは、本作の宣伝活動を東京と名古屋で行った後、大阪でのキャンペーンを迎えた。分量の多さに眩暈を起こしそうになりながらも「大阪のアナウンサーさんやレポーターさんは話術が流石だなぁ芸人さんとか相手にしていらっしゃるでしょうから、こちらが言いたくなるワードを引き出して頂いた」と心地よく取材を楽しんでいる。
妊活がテーマの本作だが、松重さん自身も嘗ては分からない世界だった。お客さんに「人工授精と体外受精の違いを言える方は?」と問いかけながら「デリケートな問題ですが、今回の映画では男性側に問題のある不妊なので、ちゃんと調べてみると男性側にも半分は責任もあると分かります」と解説していく。歳の差夫婦の男性側が精子の運動率が下がっているデータを見せられて愕然とする話が中心になっており「作中でキーワードになっている”駄目金玉”という言葉が何度も出て来ます。放送禁止用語でもセクハラでもないです」とまで話し、お客さんを驚かせた。さらに「アラフィフのおじさんが不妊治療を始めようと思った時にまず行かなければならないのが産婦人科です。産婦人科で幸せな妊婦さんが並んでいるところにこのおじさんは一人で何をしに来たんだろ、というシーンも出て来ます」シュールさも表現し「当事者にとっては深刻な問題なんですが、笑って社会の中で包める世の中になるようになってほしいなという気持ちも含めて、ぜひ笑って帰って頂きたいな」と提案する。
オファーを受けた事実に驚いた松重さんだが、年下の妻役が北川景子さんだと伺い、卒倒した。「年齢差があるにも程がある。原作は16歳差ですが、北川景子さんと僕は二回り違う」と述べ「スクリーンで見たお客さんは『ありえねぇだろ、こんな夫婦』と思われたら御終いなので、どうしようかな」と困惑せざるを得ない。だが、初日に北川さんに「年の差、大丈夫かな」と聞き「そんなに歳違いましたっけ」と云われ、ひと安心。「勇気づけられてクランクアップまで乗り切りました」と振り返る。北川さんとは「人間としても役者としても、素敵な演技をします。待ち時間に行った様々な会話で言葉のキャッチボールをして、夫婦の呼吸が出来ました」と揺るぎない信頼関係を構築したことを明かす。「サチさんは、歳の差夫婦にしては、どちらかといえば亭主を尻に敷いて、主導権は完全にサチが握っている」とヒキタさん夫婦について解説し「私生活では、女房とは同い年。初めて年下の女房をもらって尻に敷かれることがなんて気持ちいいんだろ。年下の妻に思い切り罵倒されるのが気持ちがキュンとする初めての体験をしました」とまで告白。「そんなサチでも映画の中では揺れ動くシーンがあり、強さと儚さと脆さを共有して、皆さんにもグッときて頂けるかな」と期待している。
サチさんのお父さん役は伊東四朗さんが演じた。松重さんは、伊東四朗さんと様々な作品でお世話になっており「今回は非常に厳格な役。作家が娘婿になったというのに、あるまじき行為をするというシーンも出て来ます」と紹介。伊東さんが厳しく接してており「お陰様で夫婦の絆は深まります。夫婦の妊活を見つめる親世代の視線で見て頂いても大丈夫です」と多様な視点も提案。濱田岳さんがヒキタさんの担当編集者を演じており「同僚として夫婦を見つめる人がどういう眼差しで見ていたかも共感して楽しんで頂けたら」も幅広い年齢層のお客さんを意識していた。
最後に、松重さんは「妊活をテーマにした作品は、皆さんも初めてご覧になるジャンルの映画だと思います。デリケートな話もありますが、楽しんで観みながら、笑って頂いて切なくなったり、誰かを思い出したりしてみてください」と伝え「子供を産むということは人間である以上、一度は考えたり頭の中をよぎったりすることです。上手くいくかどうかに関わらず、その瞬間を考えた人たちの話です。見守る人達の目線が温かいし優しいし、時に厳しいところを楽しんで頂ければ」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。
映画『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』は、10月4日(金)より、全国の劇場で公開。
- キネ坊主
- 映画ライター
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- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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