世界一の高さ誇った日立鉱山の大煙突誕生秘話描く『ある町の高い煙突』がいよいよ劇場公開!
(C)2019 Kムーブ
国策として稼働し続けた鉱山の煙害による大気汚染に苦しんだ村民が、世界一の大煙突建設のため奮闘する様を描く『ある町の高い煙突』が6月22日(土)より全国の劇場で公開される。
映画『ある町の高い煙突』は、日立鉱山の煙害と戦った地元村民たちの実話を映画化。1910年、茨城県久慈郡入四間の地主の家に生まれ育った関根三郎は、隣村の日立鉱山による煙害が発生していることを知る。村の権力者である祖父・兵馬は事態を重く見て鉱山会社へ掛け合いに行くが、補償するので煙害は我慢するよう一方的に言われてしまう。受験を控えた三郎を心配する兵馬は、30年前に村長として採掘権を許可したのは自分だと告げるが、その5日後に亡くなってしまう。三郎は祖父の遺志を継ぎ、進学も外交官になる夢も捨てて煙害に立ち向かうことを決意する。
本作は、昭和の文豪である新田次郎氏の同名小説を原作に映画化。舞台を中心に活躍する井手麻渡さんが主演、吉川晃司さん、仲代達矢さん、大和田伸也さん、六平直政さん、斎藤洋介さんらがわきを固める。『天心』の松村克弥監督がメガホンをとった。
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映画『ある町の高い煙突』は、6月22日(土)より全国の劇場で公開。
日立製作所は、そもそも日立鉱山で使用する機械の修理製造部門から誕生した企業である。では、その日立鉱山とは、茨城県日立市にあった鉱山であり、銅と硫化鉄鉱を産出し、かつての富国強兵を目指した日本の礎を築いた企業の一つ。では、その裏では、何が起きていたかを本作では描いている。
亜硫酸ガスによる煙害、と聞くと、どれほど自然環境や人間にとって悪影響を及ぼすか、いくらでも想像してしまう。明治時代から公害はあった…誰もが人間にとって良くないと分かっていても、国策には反対できず、自分達の生活が危ぶまれてしまう。嘗てあった時代の出来事ではあるが、現代が抱える問題に共通することがいくらでもあった。明治150年であった昨年以降、明治・大正の出来事を基にした作品が多く制作されているが、本作は、現代につながっていく重要な一作となることを期待したい。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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