ひとり暮らしをする知的障害者の人々を追ったドキュメンタリー『道草』がいよいよ関西の劇場で公開!
(C)2019 映画 『道草』 all rights reserved.
重度の知的障害者と“自立生活“をめぐる問題を、障害を持つ複数の人たち、その家族や介護者たち、施設との関係を通して描き出す『道草』が、3月23日(土)より関西の劇場でも公開される。
映画『道草』は、ヘルパー(介護者)付きでひとり暮らしをする知的障害者の人々を追ったドキュメンタリー。高校を卒業し自立生活をはじめて6年、スケボーや一輪車、絵を描くことが好きなリョースケ。20歳で自立し、街角の散歩道を介護者と丁々発止の掛け合いをしながら歩くヒロム。津久井やまゆり園の殺傷事件の被害にあい一命を取り留めたカズヤなどの日常を追う…
自閉症や知的障害、自傷・他害といった行動障害がある人々は、世間との間に線を引かれ、囲いの内へと隔たれ、暮らしの場所は限られていた。「重度」とされる知的障害者の多くは入所施設や病院、あるいは親元で暮らしているのが実情だが、2014年の重度訪問介護制度の対象拡大により、重度の知的・精神障害者もヘルパー付きのひとり暮らしができる可能性が広まった。東京の街角で介護者付きのひとり暮らしを送る知的障害者の人々を追い、介護者とのせめぎあいや、道草をしながら散歩する何気ない日常の姿などを通して、健常者と障害者がともにある街の新しい選択肢を見つめていく。監督は、『風は生きよという』の宍戸大裕さんが務めた。
映画『道草』は、3月23日(土)より、大阪・九条のシネ・ヌーヴォと京都・烏丸の京都シネマで公開。また、4月13日(土)より、神戸・新開地の神戸アートビレッジセンターで公開予定。
この映画は、私達の日常生活と何ら変わりない世界をしっかりと描いている。
知的障害者の人々とヘルパーの方々。この関係は、決して特別なものではないと感じた。人間同士の関係として日常に存在しているものと何ら変わりはない。ヘルパーの方々は、驚くほどに現代の若者だった。日々の苦労が顔に出ていて、こちらにもその大変さで辛くなるというものではない。一人の人間として対峙し、相手の立場に寄り添いながら真摯に仕事をこなしていた。これこそが介護士の仕事なんだな。
本作の最後には、2016年夏に起きた事件の当事者が登場する。様々な障害者を取材する中で、そこに行きつくのは当然の流れかもしれないが、まさか本当に取材が出来たとは…まさに、この映画は、現代社会を捉えた一つの作品であり、何気ない日常をしっかりと見つめておきたいと教えてくれる作品である。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
- 最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!