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人間の表裏一体を作品で表現したい…!業界最注目の女性監督長編デビュー作『赤い雪 Red Snow』永瀬正敏さんと菜葉菜さんと甲斐さやか監督を迎え舞台挨拶開催!

2019年2月3日

ある少年失踪事件をきっかけに、“被害者の兄“と“容疑者の娘“の運命の歯車が大きく動き始める模様を描く『赤い雪 Red Snow』が、2月1日(金)より全国の劇場で公開されている。2月3日(日)には、大阪・梅田のテアトル梅田に永瀬正敏さんと菜葉菜さんと甲斐さやか監督を迎えて舞台挨拶が開催された。

 

映画『赤い雪 Red Snow』は、少年失踪事件を題材に描くサスペンス。雪が降り続く小さな村で1人の少年が姿を消し、一緒にいた兄・白川一希の記憶が曖昧だったことから捜査は混乱する。捜査線上に他に何件もの殺人容疑がかかる江藤早奈江が浮かび上がるが、完全黙秘を貫いた早奈江は無罪となる。事件から30年、容疑者・早奈江の一人娘である早百合を見つけ出した事件記者の木立省吾が、一希のもとへとやってくる。30年という長い年月を経て、出会った被害者の兄と容疑者の娘。それぞれ心に傷を持つ2人の出会いによって、予想外の結末へと収束していく…

 

上映後に、永瀬正敏さんと菜葉菜さんと甲斐さやか監督が登壇。満席に感謝しながら、鑑賞後の余韻を崩さないように思い思いに挨拶を行った。

 

30年間の思いが詰まった役柄を演じた永瀬さんは「重過ぎた」と噛み締めながら「何かがきっかけでそんな風に転んでしまうことが誰しもがある。幼い頃の記憶が勝手に良い風に変えていたり、大したことない出来事が悪い方に考えていたりする。とあるきっかけで全然違ったんだと分かることもある。その究極が僕らの役柄では親である」と論じる。とはいえ、甲斐監督が執筆したオリジナルの脚本を読み「この世界に入りたい」と切に願い「演者としてはやりがいのある作品」だと絶賛。菜葉菜さんは、本作の制作前に甲斐監督と知り合うことがあり「とてもおもしろい作品で菜葉菜さんにピッタリの役があるんだ」とオファーを受け、台本を読み「この役が私にピッタリなのか」と衝撃だった。だが「甲斐監督の世界に私も飛び込んでみたい。演出されたい」と強く願い「ぜひ演じさせて頂きたいです」と応えた。

 

甲斐監督は、本作の演出にあたり、事前に出演者とディスカッションする時間を作り、それぞれの役について深めていく。菜葉菜さんは、早百合を理解し共有した上で現場に臨んだが「急に孤独感に襲われ、負のスイッチが全開になり、自分を追い込んでしまった」と告白。そんな様子を鑑みた永瀬さんが撮影中に息抜きの場所を作ったことで自分を取り戻せたので、菜葉菜さんは大変感謝している。他にも、甲斐監督のお薦め本を読んだり、舞踏家を紹介してもらい演技のヒントにしていった。漆職人役の永瀬さんは、1ヶ月前から職人さんに教わり、撮影まで腕回しの練習を実施。甲斐監督はその出来上りに感激する。本来は何年もかかる修行を一生懸命に教えて頂いた永瀬さんは「毎日練習していました。漆は持ち帰られないので、サラダオイルを使ってやっていました」と明かした。さらに、井浦新さんにも役柄について話したり、佐藤浩市さんに身なりを作ってもらったりしており、甲斐監督の準備に抜かりはない。

 

また、雪が舞う中での撮影にあたり、甲斐監督は事前に新庄フィルム・コミッションの方に案内して頂いており「豪雪の中を歩くのは困難でしたが、雪のガイドをしてもらいながら、一発撮りが出来るように入念にシミュレーションを繰り返し、緊張感のある撮影に臨みました」と物語る。雪国での2人の衣装に関してもこだわっており、永瀬さんは「職人風の衣装を偶々見つけました。作品のメインロケは山形県ですが、知り合いの古着屋さんがあり、見繕って頂いた。イタリアかロシアの軍での作業着からの古着で、作務衣につながれば」と入れ込んだ。菜葉菜さんも「年齢不詳感を醸し出しながら、違和感がある色のスノーブーツ等に拘り、妙な雰囲気が映りました」と満足している。

 

業界が注目する女性監督の長編デビュー作となった本作について、永瀬さんは「この作品の撮影後、様々な現場において、同業者の方達から『甲斐さんのデビュー作が凄いらしいね』と聞きます。公開前のマスコミ試写で広まったみたいで『甲斐さんはどんな方なんだ。次も準備しているのかな』と言われている」と注目度の高さを伺わせた。菜葉菜さんも「早百合以上に、実は一番怖いのは監督だと思います」と応える。これを受け、甲斐監督は「私、表裏一体を作品で毎回表現したいですし、自分に嘘をつかずに中まで抉って覗いていきたい」と意気込んだ。

 

最後に、永瀬さんは「日本映画界が世界に対して貴重な人材が今回生まれました。ぜひ皆さんに応援して頂いて、さらに次回作も観に来て下さい」と応援を寄せる。菜葉菜さんも「公開3日目、これからだと思っていますので、大阪の方のパワーで『赤い雪』を一緒に応援して頂ければ嬉しいです」と呼びかけていく。甲斐監督からは「次回は『青い雪』?『黄色い雪』?またここで上映出来たら。今は『赤い雪』を宜しくお願い致します」と次回作を匂わせながら、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『赤い雪 Red Snow』は、大阪・梅田のテアトル梅田、京都・烏丸の京都シネマ、神戸・元町の元町映画館など全国の劇場で公開中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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