演じたい役は自ら作り、監督するしかない…『モースト・ビューティフル・アイランド』アナ・アセンシオさんに聞く!
スペインからの米国移民であるアナ・アセンシオさんが、実体験を基に監督・脚本・主演を兼任して作り上げたセンセーショナルなヒューマンドラマ『モースト・ビューティフル・アイランド』が2月1日(金)より関西の劇場で公開。今回、アナ・アセンシオさんにインタビューを行った。
映画『モースト・ビューティフル・アイランド』は、不法移民の女性が経験する悪夢のような一夜を、スペイン出身の女優アナ・アセンシオが自身の経験をもとに初メガホンと脚本・主演を務めて描いたサスペンススリラー。マンハッタンの古アパートで暮らす移民女性ルシアーナは、ベビーシッティングや客引きで日銭を稼ぎながら極貧生活を送っていた。そんなある日、彼女は友人のロシア人女性から、セクシーなドレスを着てパーティに参加するだけで高額の報酬がもらえるバイトを紹介してもらう。指定された地下室を訪れると、そこには彼女のような外国人の美女が何人も集められており、威圧感のあるマダムが1人ずつ奥の部屋に呼び込んでいた。不安と恐怖にかられるルシアーナだったが、不法移民の彼女を助ける者はいない。やがて、ついに彼女にも声がかかり……
本作の半分程度は、嘗てのアセンシオさんが営んだ生活をベースに描いている。劇中に描かれる高額バイトは実体験ではないが、凄く似た経験をしていた。アセンシオさんは「新聞の日雇いバイト募集記事を見つけた。ハロウィンに仮装をして、とある場所に行く。車でその場所に連れて行かれたが、聞いていた話と違う。その場所にずっと居る必要があり、離れられなかった。恐怖を感じ、何か起きたらどうなってしまうんだろうと思い逃げた」と明かし、実体験の恐怖から本作の着想を得ている。
また、監督・脚本・主演を兼任した動機について「演じたい役を自ら作りたかった。本作のアイデアが生まれ、誰かに渡すことが絶対に出来なかった」と述べた。自身に強いビジョンがあり「自分が演じ、監督するしかない」と決意する。なお、ニューヨークのアンダーグラウンドを描くにあたり、ロケハンの際には「銃弾が自分の目の前を突き抜けたことがあり、咄嗟にテーブルの下に潜り込んだ」と、本作の内容に匹敵するような恐怖体験をしてきた。
先だって、2017年のSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)映画祭において、本作は、長編ナラティヴ・コンペティション部門の審査員大賞を受賞。10作品のノミネートがあったが「他の作品は予算も大きく、様々な方が期待している作品ばかり。私の作品は誰も期待していなかった」と告白。最初のスクリーニングでは観客席も半分しか埋まらなかったが「最初に観に来てくれたお客さん達が話題にして広めてくれた。2回目の上映は満席になり、作品のへ支持が高まった」と、お客さんの満足度を実感。アセンシオさんとしては「2種類の観客に楽しんでもらいたい。一つは斬新な視点で描かれた作品を探している方に観てもらいたい。また、純粋にホラーファンに楽しんでもらえたら嬉しい」と日本のお客さんにも期待している。なお、ホラー映画について「全てではないが、一部は大好きです。怖がらせるだけじゃなく、感情が自分の中に残るようなものが好きです」と嬉しく話した。
これまでは、女優として活動してきたアセンシオさんだが「やはり自分が役を決めるわけではない。誰かに選ばれるのは、自分でコントロールが効くものではない」と感じていたが、現在は監督となり「自分で作ることができる。これからはエネルギーを監督業に注いでいく」と決心。次回の監督作については、脚本が完成しており「女性を主人公にしたサイコロジカルスリラー作品を企画中です」と目を輝かせている。
映画『モースト・ビューティフル・アイランド』は、2月1日(金)より、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田で公開。また、4月13日(土)より、神戸・新開地の神戸アートビレッジセンターでも公開予定。なお、京都・出町柳の出町座でも順次公開予定。
- キネ坊主
- 映画ライター
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- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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