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終活のイメージを覆すヒューマンドラマ!『あなたの旅立ち、綴ります』トークショー付き試写会開催!

2018年2月19日

(C)2016 The Last Word,LLC.All Rights Reserved.

 

元広告代理店社長の老婦人と若い女性新聞記者の交流を描くヒューマンドラマ『あなたの旅立ち、綴ります』が2月24日(土)から公開される。本公開に先駆け、2月19日(月)に大阪・天王寺の浄土宗 應典院ホールで、秋田光彦住職と終活カウンセラーのおちあやこさんによるトークショー付き試写会が開催された。

 

映画『あなたの旅立ち、綴ります』は、人生の終わりを見据えた嫌われ者の老婦人と、始まったばかりのキャリアに悩む若い女性記者が、世代を超えて育む友情を描いたハートフルストーリー。ビジネスで成功し、何不自由ない生活を送ってきた老婦人ハリエット・ローラーは、80代になって孤独と死への不安を抱くようになり、自身の訃報記事を生前に用意しておこうと考える。地元の若い新聞記者アン・シャーマンに記事執筆を依頼したハリエットだったが、わがままで自己中心的なハリエットを良く言う人は誰もおらず、出来上がった記事は理想とはほど遠い内容だった。そこでハリエットは「最高の訃報記事」ができるように自分を変えることを決意。愛され、尊敬される人物になるよう奮闘する。そんな何事にも強気なハリエットと正反対な性格のアンは、しばしば衝突するが……

 

 

浄土宗應典院ホールでの上映後、秋田光彦住職(以下、秋田住職)と終活カウンセラーのおちあやこさん(以下、おちさん)が登壇。

 

おちさん:

終活につながるような映画ですよね。

秋田住職:

原題は『THE LAST WORD』。旅立ちと綴るをかけてありますね。最初は、ハリエットの旅立ちを描いていると思いましたが、アンの旅立ちでもあると気づきました。お互いの旅立ちを綴っていると感じました。ハリエットを演じたシャーリー・マクレーンは84歳。シャーリー・マクレーンは1980年代にニューエイジの旗手として注目された人で、『アウト・オン・ア・リム』は世界的なベストセラーになりました。彼女は仏教に傾倒しており、輪廻転生について書いており、生まれ変わりについて語っていました。

 

☆終活について

おちさん:

私はお坊さんではありません。親子の間で終活を語るには、未だに大きな壁があると思います。その間をつないでいく役割。自分で終活をしたい方に向けて相談役となります。エンディングノートを持っていても書いていない方がほとんどなので、一緒に書いていこうとアドバイスしたり、息子さんや娘さんに両親がどうしてエンディングノートを書くのか紹介したりしています。

秋田住職:

映画では、ハリエットは一人でも強い女性だが、最後に向かって歩けない女性。一緒に寄り添ってほしいとメッセージが込められている。日本人は寄り添いを拒む自己完結型。周りに迷惑かけないで、自分で最後まで自立した死を迎えるというのが日本の美徳。この映画では、皆が付き合っていきますよね。迷惑をかけない日本の終活と違い、アメリカにおける終活の特徴は、周りを巻き込んで御縁を広げていく。ポジティブで、日本人が持つ終活のイメージを突破する気がしました。

おちさん:

赤の他人が川の字になって寝ているシーンは衝撃的でした。日本にはあまりない。

秋田住職:

日本の場合、世代を超えた人達が一緒に何かをするのは、家族を除くとほとんどない。お年寄りの方を高齢者と言って福祉の対象となり、一人で住んでいると独居老人というレッテルを張られる。ご高齢の方に、自分が自由でありたくて一人で生きることを選んでいる方は沢山いらっしゃると思いますが、その生き方をどこまでも1人で貫くことはできない。余命宣告を受けたり、自分の体が動かなくなったりした時、娘より他人に託そうとするのが日本で感じるような雰囲気とは違う。家族ではないが、もう一つの繋がりの深め方ですね。

おちさん:

私の母は片付けが出来ない人。私は片付けが出来て、片付けのお仕事もしている。片付けられないために、いつか片付けようと片づけを学んで生活を身構えている。片付けと終活は似ている。人生の断捨離という言葉は最近はよく出てきます。

秋田住職:

話はそれますが、15年前から生前に自分のお墓をつくることが出来るようにしています。単身者の方や子供のいらっしゃらないご夫婦を対象にしています。条件は、ご自身の意志で生前に申し込むこと。申し込んだ方達同士が集まる場があり、最初は赤の他人なのに段々と仲良くなり、お墓を介した友達「墓友」が出来ていくコミュニティです。結局、終活はそこにつながります。

おちさん:

老後になると何が幸せか。脳科学者が、「今日、用があること。行くところがあること」と仰っているのを聞き、凄くいいなと思い、人に会うと伝えようと思っています。人と関わりを持つコミュニティがあるからことできることですね。

 

☆男女の死生観について

秋田住職:

映画の中心人物は皆女性。なぜ男性が出てこないのでしょうか。

おちさん:

男性はプライドが高く、人に頼りたくない。終活カウンセラーは女性の方が多いと思います。先のことまで考えると現実的になります。奥様が先立たれると男性は追うように逝ってしまわれることが多い。反対に、女性は夫に先立たれると羽を伸ばすように羽ばたいていく、と謂いますね。

秋田住職:

思い当たる節があります。

おちさん:

死は平等にあり、それが今日かもしれない。或いは何十年後かもしれない。死生観を皆と共有したく、誰かに聞いてほしい、ということが家庭内でもありますよね。

秋田住職:

お坊さんがこういうことをいけないが…いきなり「仏教の教えが…」とか「今日の教えがね…」と放しても意味がない。死生観は、本人ではなく、先人の生き方や死に方から学びます。それがモデルになります。

 

終活や映画について、まだまだ語り合いたいことだらけの2人だったが、残念ながらトークイベントはここまで。映画『あなたの旅立ち、綴ります』は、2月24日(土)から、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、なんばのなんばパークスシネマ、京都・河原町のMOVIX京都、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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