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アイドルは監督自身も好きになる魅力がある!『劇場版 アイドルキャノンボール2017』関西の劇場で公開開始!

2018年2月17日

AVの世界を飛び出し、映画ファンやサブカル好きから熱烈な支持を受ける異色ドキュメンタリー「キャノンボール」シリーズの劇場版最新作『劇場版 アイドルキャノンボール2017』が2月17日(土)より関西の劇場でも上映を開始。今回、来阪したカンパニー松尾監督、岩淵弘樹監督、高根順次プロデューサーに独占インタビューを敢行した。

 

映画『劇場版 アイドルキャノンボール2017』は、2017年3月下旬、株式会社WACKに所属するBiS,BiSH,GANG PARADEの新メンバー募集を目的に、WACK合同オーディション最終審査が5泊6日にわたって行われた裏で、密かに撮影を敢行した模様を映画化。アイドルグループのメンバーだけでなく、オーディション参加者、街角やSNSでゲットした素人女性を対象に、AV監督&MV監督陣がどこまで迫れるかを競う…

 

シネ・リーブル梅田では、エリザベス宮地監督による『ALL YOU NEED is PUNK and LOVE』が2月10日(土)より1週間限定公開した後、2月17日(土)より『劇場版 アイドルキャノンボール2017』が公開。2作を制作した経緯について、松尾監督は「宮地君は自身の結果が良くなく、悔しくてもう一度BiSHに向かい合いたいという話があった。そこで、『アイドルキャノンボール』で描いた話に、その後の話を繋げ『ALL YOU NEED is PUNK and LOVE』を制作した」と説明。結果的に『ALL YOU NEED is PUNK and LOVE』が先に公開されたが、本来は『劇場版 アイドルキャノンボール2017』の企画から始まった。そもそも、本企画の発端について「劇中では、渡辺さんからキャノンボールをやってもらいたいとあるが、実際は、どちらからかハッキリしない。僕がWACKオーディションに参加できるか分からなかったが、参加するなら、企画込みで参加したいと話したら通ってしまった」と明かす。

 

今作では、これまでの「キャノンボール」シリーズ常連のAV監督に加えてMV監督も参加。『遭難フリーター』『サマーセール』の岩淵弘樹監督は参加にあたって奥様に説明し「私の妻は理解力がある。そもそも『劇場版 テレクラキャノンボール2013』を妻と一緒に観ていた。妻は女性の立場で観て『私は笑えない』と否定的でした」と告白。松尾監督は「そんな風に観ると思いますよ」とフォロー。高根プロデューサーの場合は「『BiSキャノンボール 2014』を作る時、僕も妻に言っておかないといけないと思った。テアトル新宿で上映していた『テレキャノ2013』を妻とその友人に観に行ってもらったが、帰ってきたら『最高だった。アレがダメな人と私は友達になれないわ』と言ってきたので、これは大丈夫だな」と安心。松尾監督は「受け手側の意識やリテラシーが重要。受け手側がどこに見入るのか」と関心を持っている。岩淵監督は「俺は大好きだからと言って薦めたが、逆に妻は反対の位置に立ってしまった。劇中でも言ったが、結婚しているから撮れるものがある」と自負。松尾監督は「奥さんは、アイドル候補生が岩淵を好きになってしまったらどうしよう、と想像力を働かせて心配していた」と告げるが、岩淵監督は「俺はするぞという気持ちで参加したが、実はこれまでしたことがない。『あなたはAV監督ではないでしょ』と釘を打たれて戦場に向かった」と漏らす。

 

本作での勝負は最後まで大いに盛り上がった。岩淵監督は「最終決戦の時は、本物のキャノンボーラー達にぶった切られようと、出来る限りやって負けようと思った。チームプレーとしては、皆の撮ってきた映像がそれぞれの味があって面白い。自身も素直に楽しむ日々が1週間続いたので、最終日はゲームの最後にゲームマスターにチャレンジする意識だった」と振り返る。同時に「『BiSキャノ』を観て、憧れのキャノンボーラー達がアイドルを前にして何をしているんだ、とガッカリしたので、AV監督にとっては不利な条件のゲーム自体をなんとかせねば」という思いがあった。これを受け、松尾監督は「不利なゲームではある。僕達が戦っているリングと違うが、だからといって、どうにかせねばとは思っていない。ならば、その中でどういう戦い方をしようか。これまでに培ってきたトーク術を発揮すれば違うものになるんじゃないか」と応える。高根プロデューサーは「僕も『テレキャノ』は大好きですが、最初に松尾さんに声かけたのは『テレキャノ』以前。大橋仁さんの写真集『そこにすわろうとおもう』についてのドキュメンタリーを観て、素晴らしく、この人しかいないと思ったのがきっかけ。『BiSキャノ』は大好きな作品。アイドルの怒り等もありつつ、両者の戦いは描けていた」と話す。松尾監督も『BiSキャノ』を改めて観て「渋い戦いですよね。公開当時は重かったが、時を経て観てみたら、いい戦いだったなぁ」と思い返した。高根プロデューサーにとって、本作は「『キャノンボール』を素人の子も入っている合宿で実施するにあたり、松尾さんが仕掛けを提案してくれた。まさかMV監督の岩淵君と宮地君が活躍するとは」と予想外の結果に。だが、宮地監督の活躍について、松尾監督は「紙一重で惜しい。いくらでもやり方があったのに。頑張ってほしかった」と嘆く。しかし、視点を変えると「全然関心がない人が現場の仕事で1日密着しただけで、本気で好きになったと言わせるのは凄い。アイドルに魅力があると証明した」と解釈し、様々な観方ができる作品だと捉える。

 

『ALL YOU NEED is PUNK and LOVE』では、女性ファンも多く存在することに気づく。アイドルという存在について、高根プロデューサーは「アイドルを応援する心理が僕には解らない。女性が女性アイドルを観にいくのは不思議」と感じているが、松尾監督は「最初はファンが男性、女性ファンはいない。女性ファンがつくようになったアイドルは売れる。同性の支持を得られるかが分岐点」だと分析。岩淵監督は「オタクには、本気で恋していたり、写真を撮るのが好きだったり、曲が好きだったりと様々。好きになる経緯は多様だ」だと受け止める。松尾監督は「WACKの人達はアイドルらしくない。個性豊かな子達で撮りやすく、作品が成立している。一般的なアイドルに僕らのやり方は通用しない。WACKだから出来た」と説明した。映画の感想には「俺も明日から仕事頑張ろうと思いました」というコメントがあり、高根プロデューサーも安心。『アイドルキャノンボール』の最終審査翌日に、著書『PRODUCERS’ THINKING』のあとがきを書いており「燃え滾ったまま”出演者の人生を変えてしまうかもしれない”等と書いた。今のところ誰かの人生を狂わすような問題は起きていない」と安堵している。

 

今後の展開について、高根プロデューサーは「WACKや渡辺さんに興味があるが、『キャノンボール』は今回が集大成だと思っている。次は別の形で」と考え中。これを受け、松尾監督も「もう無理。企画がバレ過ぎ」と漏らす。高根プロデューサーは「『キャノンボール』以外で何が撮れるか考えていかないといけない。僕が参加するかどうかも含め分からない。常に一緒にやっていくのが約束ではないし、お互いに握手して面白いものをつくろうとする状況がなければ、やらないかもしれない」と述べた。

 

映画『劇場版 アイドルキャノンボール2017』は、2月17日(土)から2月23日(金)まで大阪・梅田のシネ・リーブル梅田と神戸・元町の元町映画館で1週間限定公開。また、2月24日(土)から3月2日(金)まで京都・九条の京都みなみ会館で上映予定。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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