福島の被災地から本当の復興問うドキュメンタリー『春を告げる町』がいよいよ関西の劇場でも公開!
(C)JyaJya Films
東日本大震災から6年が経過し、インフラ復旧と除染が進み、本格的な帰還が始まる福島県双葉郡広野町で、さまざまな立場の町民の日常を通して、“本当の復興“とは何かを問いかける『春を告げる町』が3月28日(土)より関西の劇場でも公開される。
映画『春を告げる町』は、東日本大震災直後に全町避難を余儀なくされ、東京電力や自衛隊の前線基地になった福島県双葉郡広野町の人びとの現在を追ったドキュメンタリー。震災から9年後の2020年の広野町。インフラの復旧や除染が進み、震災当時の人口の約8割の人々がこの町で生活している。震災をモチーフに演劇を作りあげる高校生たち、農家や消防士、原発作業員など町に暮らす人びとの姿、かつては炭鉱で栄えたこの土地の歴史などを背景に、町の物語を紡いでいく。
本作の監督は『ドコニモイケナイ』で2012年度の日本映画監督協会新人賞を受賞した島田隆一さん。編集は『息の跡』『愛と法』などの秦岳志が担当した。
(C)JyaJya Films
映画『春を告げる町』は、3月28日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場、4月4日(土)より京都・烏丸の京都シネマで公開。また、神戸・元町の元町映画館でも近日公開。
広野町の人々にとって「春」とは何を意味するのか?東北の寒い冬を乗り越えた春?東日本大震災から9年経った今だからこそ迎える新年の春?住んでいた町に帰還し新たな町の始まりを表す春?2020年になって改めて公開される被災地を舞台にしたドキュメンタリーについて、様々な思いを巡らしながら、本作を鑑賞した。
広野町に住んでいた様々な人々をカメラは追いかけながら、要所要所に映し出され印象に残るのが、ふたば未来学園高校演劇部の舞台公演と練習風景。今や全国大会出場校レベルの演劇は非常におもしろく、映画化される作品も登場している。上演される作品「人生ゲーム」は、演劇部で唯一の震災を経験していない帰国子女の女の子が自らの率直な思いを以て演じていた。辛い経験をしても、これからの未来に対して希望を抱いて生きていこうとしている町の人々を象徴するような存在として本作でも描かれようとしているが、町の現実をこれでもかと叩き付けていく。それでも「春」を迎えようとしている人々を表現していく。観終えた今、新たな時代を迎えた被災地の今と未来を紡いでいく物語があると気づかされました。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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