シアターセブンで西日本の地方テレビ局制作による傑作ドキュメンタリーを一挙上映!
大阪・十三のシアターセブンで「西日本・地方テレビ局制作ドキュメンタリー映画 特集上映」が2月11日(土)より開催される。
シアターセブンでは、現在開催している特集上映「東海テレビドキュメンタリーの世界」に続いて、地方テレビ局によって製作されたドキュメンタリー映画の特集上映を行う。今回は、西日本に拠点を置くテレビ局が制作したドキュメンタリー映画に限定し独自の作品5本がセレクトされた。
上映作品は以下の通り。
『ふたりの桃源郷』(2016年)【山口放送製作】
『五島のトラさん』(2016年)【テレビ長崎製作】
『クワイ河に虹をかけた男』(2016年)【瀬戸内海放送製作】
『放射線を浴びた「X年後」』(2012年)【南海放送製作】
『放射線を浴びた「X年後」2』(2015年)【南海放送製作】
特集上映「西日本・地方テレビ局制作ドキュメンタリー映画 特集上映」は2月11日(土)から3月3日(金)までの開催。『ふたりの桃源郷』『五島のトラさん』『クワイ河に虹をかけた男』は一般1,500円シニア1,100円専門・大学生1,200円中学生・高校生1,000円小学生以下700円、『放射線を浴びた「X年後」』『放射線を浴びた「X年後 」2』一般1,200円シニア・学生1,000円小学生以下700円(シアターセブン会員はいずれも1,000円)、また一般料金の方のみに限り作品相互割引として 整理券のご提示で、2作目以降 200円引きとなっている。
上映される5作品は何れも鑑賞しているが、特に個人的にお薦めしたいのは『五島のトラさん』
長崎県五島列島でうどんの製麺業を営む9人家族の22年間を追ったドキュメンタリー。五島列島北部にある新上五島町で、トラさんの愛称で呼ばれている犬塚虎夫さんは、過疎化が進む島で名物の「五島うどん」や天然塩を家族で作っている。7人の子どもたちは毎朝5時に起き、うどん作りの手伝いをしてから学校へ行く。子どもたちの手伝った分はタイムカードに記録され、子どもたちのお小遣いとなる。子どもたちの成長、結婚、出産、帰郷、そして別れ……ありふれた家族の22年の営みが描かれる。
自営業で一家の生計を立てている、ありふれた物語と言ってしまえばその通りではあるが、22年もかけて丁寧に製作されており、散文的ではなくストーリーがしっかりと組まれ、見応えのある作品になっている。子どもたちは成長していく中で、うどん作りと自分の夢を天秤にかけ、家を出ることを選んだり戻ってくることを選んだりと自立していく。自然の中で生きていくことについて考えることを観客は追体験できる作品となっている。
なお、本作が第七藝術劇場で公開された当時、劇中に登場するうどんが売られていた。作品を通じてどのような方々が今もうどんを作られているかを知ると、言わずもがな購入した。うどんはもちろん美味しく食べ、リピーターとなってしまった自分である。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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