東西再統一を目前に控えた旧東ドイツで実際に起きた紙幣大量盗難事件をもとにした『ハルバーシュタットの埋蔵金』がいよいよ劇場公開!
©2024 ROW Pictures GmbH, zischlermann filmproduktion GmbH, Lichtblick Film- und Fernsehproduktion GmbH, ZDF, ARTE
東ドイツの田舎を舞台に、軍の地下坑道に密かに廃棄された東ドイツ紙幣を発見し、思わぬ大金を手に入れた人々の様子を描く『ハルバーシュタットの埋蔵金』が9月4日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『ハルバーシュタットの埋蔵金』は、自由と混乱が交錯する統一前夜の東ドイツを舞台に描いた社会派コメディ。1990年の夏、東ドイツで暮らす幼なじみのマーレン、ロベルト、フォルカーは、旧体制下で廃棄されるはずだった大量の紙幣が残された地下坑道を発見する。貨幣価値を失った金を手にした彼らは、仲間たちと協力して物質と交換する独自の流通網を築き上げていく。西側資本主義に小さな反旗を翻すその行動は、やがて大きな冒険へと発展していく。
本作はでは、『落下の解剖学』『関心領域』のザンドラ・ヒュラーがマーレン、『マトリックス レザレクションズ』のマックス・リーメルトがロベルト、『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』のロナルト・ツェアフェルトがフォルカーを演じた。監督・脚本は、『クリスチーネ・F』の主演や『ネレ&キャプテン 壁をこえて』の脚本などで知られるナーチャ・ブルンクホルスト。日本では、ザンドラ・ヒュラーの出演作を集めた特集上映企画「特集 ザンドラ・ヒュラー 変幻する<わたし>のかたち」にて『二対一 東ドイツ通貨統一の夏に発見した大切なこと』のタイトルで劇場初公開された。

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映画『ハルバーシュタットの埋蔵金』は、9月4日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都や烏丸御池のアップリンク京都、兵庫・神戸のkino cinema 神戸国際や尼崎のMOVIXあまがさきで公開。
日本の場合、傷みや汚れで使えなくなった紙幣は、日本銀行に戻され、細かく裁断されて処分される。裁断された屑の約半分はトイレットペーパーや住宅用建材などにリサイクルされ、残りは焼却処分されていく。その事実を踏まえた上で、日本映画でも、廃棄された紙幣を強奪する様子を描いた作品は存在する。現実においても、そのような事件があったことも事実だ。そして、本作では、統一前夜の東ドイツにおいても、本当にこのような出来事が起きていたことに、やはり驚いてしまう。とはいえ、東西ドイツが統一される直前の出来事であることが興味深い限り。あと数日で、本当に”紙屑”になってしまう紙幣が大量に廃棄されていることに納得せざるを得ないが、その在り処を知り、活用しようとする発想は実におもしろい。廃棄されていた紙幣によってモノを買い、そのモノを売って、現金化していく。利口過ぎるわらしべ長者のように思えて唖然としてしまう。さらには、その獲得した現金を何に変えようとしていくのか。これこそが本作の意図した本質だと気づかされていく。社会主義国家であった東ドイツが、資本主義国家である西ドイツと統合されることについて、人々が何を感じていたか。統一される前に何がしたかったのか、と自然と伝わってきた。その様子を、2020年代を生きる者として鑑賞した際に何を感じていくことが出来るのか。社会派作品であり、コメディとしても十分におもしろい作品である。『ありがとう、トニ・エルドマン』によって日本でもザンドラ・ヒュラーについて知られるようになり、特集上映によって本作が知られ、劇場ロードショー公開に至ったことは大変喜ばしい限り。多くのお客さんに本作が観られることを願ってやまない。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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