亡くなった姉にそっくりな女性に偶然出会った姉妹を映し出すドキュメンタリー『グルスポングの奇跡』がいよいよ劇場公開!
©2023, Ballad Film, SVT, Film i Vast, Film Stockholm, Mer Film, Good Company Pictures. All rights reserved.
亡き姉と瓜二つの女性に出会ったノルウェー人の姉妹に依頼を受けたマリア・フレデリクソン監督が製作した、長編デビュー作となるドキュメンタリー『グルスポングの奇跡』が9月4日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『グルスポングの奇跡』は、スウェーデンとノルウェーの国境を越えた奇跡の再会が、家族をめぐる複雑な愛憎劇へと展開していく様子をとらえたドキュメンタリー。スウェーデンに暮らす妹カーリのもとを訪れたノルウェー人のマイは、遊園地の乗り物で事故に遭い怪我を負ってしまう。姉妹は療養中の気分転換にと、スウェーデンの小さな町グルスポングで家を探しはじめる。2人は理想の家を見つけるが、売主の女性オーウラグは、かつて自ら命を絶った姉リータにそっくりだった。やがて、オーウラグはマイとカーリの異母姉で、リータの双子の姉であることが判明する。1940年代、ナチス・ドイツ占領下のノルウェーでは、双子は人体実験の対象として狙われる危険があったため、オーウラグは出生時に”死亡”と偽られて別の家族に託されたのだった。奇跡の再会に喜んだのもつかの間、家族の間にはいつしか軋轢が生じ、封印されてきた痛ましい真実が明らかになっていく。
本作の監督は、女性の視点から社会や人間関係を見つめる短編ドキュメンタリーを多く手がけてきたマリア・フレデリクソン。マイとカーリの姉妹から映画化を依頼されたフレデリクソン監督が長編初メガホンをとり、奇跡のような再会の記録が、”真実とは何か”という根源的な問いへと発展していく過程を映し出す。スウェーデンのアカデミー賞といわれるグルドバッゲ賞にて最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した。

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映画『グルスポングの奇跡』は、9月4日(金)より全国の劇場で公開。関西では、9月4日(金)より京都・烏丸御池のアップリンク京都、9月11日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田や兵庫・神戸のシネ・リーブル神戸で公開。また、兵庫・豊岡の豊岡劇場でも順次公開予定。
ある姉妹が遭遇する奇跡のような巡り合わせ。まさに”事実は小説より奇なり”な出会いに胸躍らせ、マリア・フレデリクソン監督にドキュメンタリー映画を撮影することを願い出る。しかし、真実に迫るにつれ不穏な影が顔を出す。1940年代、ナチス・ドイツに占領されていたノルウェーで生まれた双子のオーウラグとリータ。優生思想研究の対象にされないよう、密かに養子に出されていたオーウラグは都会の裕福な家庭で育つ。リータの妹であり、映画を撮るきっかけを作ったカーリとマイ姉妹はノルウェーの田舎町で敬虔なキリスト教徒として育っていく。
ドキュメンタリー映画において、監督の立ち位置は様々だ。本作は、かなり踏み込んだかたちで様子を伝えることを選んでいる。ドキュメンタリー映画が伝える力の強さと、”伝えなければ”という思いから起こる暴力な側面は、常に考えるべきことではある。しかし、このドキュメンタリー映画には、それを超えた効能があったのではなかろうか。直接の撮影を頼まれた監督として、関係性の中立を保ちながら撮り続けたことで、過去の暗部を掬い上げながらも崩壊を避けられたのは監督の存在があったからと言わざるを得ない。姉妹が監督に依頼していなかったことを考えると、ゾッとしてしまう。
ドキュメンタリー映画として、そこにある現実を見つめる作品も好きだ。そして、本作のように、監督も予期しない展開に導かれていく作品の熱量に、得も言われぬ魅力を感じてしまう。年老いた女性を真ん中に据えた作品は、映画に限らず少なかった。だが、近年は、本作も含め徐々に語られることが増えてきたように感じる。監督自身も典型的な”おばあちゃん”として描かれてきたことに違和感があり、主題に据えてきた。この変化がもたらす意義を感じるまで、まだまだ時間がかかりそうだが、誰かの助けになる側面は間違いなくあるので、今後も応援していきたい。
fromブライトマン
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
- 最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

















