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世界的に再評価が高まるイタリアの巨匠の特集上映「ミケランジェロ・アントニオーニ レトロスペクティヴ 愛の不毛、彷徨える魂」開催!

2026年8月10日

イタリアの映画監督ミケランジェロ・アントニオーニの初期作を中心とした特集上映「ミケランジェロ・アントニオーニ レトロスペクティヴ 愛の不毛、彷徨える魂」が8月15日(土)より全国で順次開催される。

 

ミケランジェロ・アントニオーニは、1912年に北イタリアで生まれ、1950年に『愛と殺意』で長編デビューを果たした。カンヌ・ベルリン・ヴェネツィアの世界3大映画祭すべてで最高賞を受賞したことでも知られている。今回の特集上映「ミケランジェロ・アントニオーニ レトロスペクティヴ 愛の不毛、彷徨える魂」では5作品をピックアップ。『愛と殺意』のほか、罪を犯す若者たちを軸としたオムニバス『敗北者たち』、トリノで偶然知り合った女性たちの人間関係を描く『女ともだち』、男女の愛の不毛さをつづった代表作『情事』、第25回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門で金獅子賞に輝いた『赤い砂漠』がスクリーンにかけられる。

 

映画『愛と殺意』( 4K修復版)は、ミケランジェロ・アントニオーニが1950年に発表した長編デビュー作。資本家の妻とその元恋人が織りなす愛憎劇をノワール調に描いたドラマ。ミラノの資本家エンリコは、美しい妻パオラの過去の素行を探偵に調査させる。皮肉にも、その調査がきっかけとなってパオラはかつての恋人グイドと再会する。愛のない結婚生活に飽きていた彼女は、グイドとの関係に情熱を取り戻していく。夫による調査が進むなか、2人は次第に危険な関係へと足を踏み入れていく。パオラを演じるのは、『リュミエール』『ラスト・ハーレム』等に出演したミラノ出身の女優ルチア・ボゼー。元恋人グイド役を、『郵便配達は二度ベルを鳴らす』『夏の嵐』などルキノ・ビスコンティ作品への出演で知られるマッシモ・ジロッティが務めた。現代人の孤独や男女の愛の不毛を見つめ続けたアントニオーニが、その後の作品にも通じる人間関係の疎外を、早くも描き出した一作。4K修復版で劇場初公開となった。

© 1950 Fincine /Villlani F. Torino – Surf Film s.r.l. All Rights Reserved

 

『敗北者たち』( 2K修復版)は、ミケランジェロ・アントニオーニが1953年に手がけた長編2作目で、フランス、イタリア、イギリスの各都市を舞台に、罪を犯す若者たちの姿を描いた群像劇のオムニバス。パリ、ローマ、ロンドン。それぞれの街で、金銭欲や虚栄心、あるいは満たされない退屈から、青年たちが殺人や密輸といった犯罪に手を染めていく。豊かさを取り戻しつつある戦後社会の繁栄の裏側で、進むべき道を見失った若い世代の精神的な空白と、揺らいでいく価値観が静かに浮かび上がっていく。監督・原案・脚本をアントニオーニが担い、『白夜』『山猫』などビスコンティ作品で知られるイタリアを代表する脚本家スーゾ・チェッキ・ダミーコ、作家ジョルジョ・バッサーニが共同脚本に名を連ねる。犯罪の背後にある疎外感や無気力を冷静に見つめるまなざしは、後のアントニオーニ作品へと受け継がれていく。2K修復版で劇場初公開となった。

1953 © Film Costellazione

 

『女ともだち』( 2K修復版)は、ミケランジェロ・アントニオーニが1955年に手がけた長編第3作。トリノを舞台に、偶然出会った女性5人の不安定な関係性を独自の映像表現で描き、第16回ベネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞した。ローマを本拠とする高級洋装店に勤めるクレリアは、トリノにオープンする支店の支配人として同地にやってくる。ある夜、宿泊先のホテルの隣室で、自殺未遂を図って気を失っている女性ロゼッタを発見する。このことをきっかけにクレリアは、ロゼッタや彼女の友人モミナたちと友情を深めていくが…原作はチェーザレ・パベーゼの小説「孤独な女たちの中に」。『埋れた青春』のエレオノラ・ロッシ=ドラゴ、『情事』のガブリエレ・フェルゼッティ、『映画に愛をこめて アメリカの夜』のバレンティナ・コルテーゼらが出演している。日本では1964年に劇場初公開となった。

© TITANUS Licensed by RAI Com S.p.A. – Rome, Italy. All Rights Reserved.

 

『情事』( 4K修復版)は、ミケランジェロ・アントニオーニを代表する一作で、アントニオーニの代名詞ともいえる男女の”愛の不毛”を描き、論争を巻き起こしながらも第13回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した。ローマの外交官の娘アンナは、恋人のサンドロや親友のクラウディアら友人たちとヨットで地中海の船旅に出るが、立ち寄った無人島で、アンナはふいに姿を消してしまう。残された恋人のサンドロと親友クラウディアは懸命にアンナの行方を捜すが手がかりはつかめず、ほかの友人たちは何事もなかったかのように日常へ戻っていく。捜索を続ける中でサンドロとクラウディアは、次第に距離を縮めていくが…クラウディア役を、『夜』『太陽はひとりぼっち』などアントニオーニのミューズとして知られるモニカ・ビッティが演じ、サンドロ役を『三月生れ』『女王陛下の007』のガブリエレ・フェルゼッティ、アンナ役を「狂った情事」のレア・マッサリが演じている。日本では1962年に劇場初公開となった。

© RTI 1960

 

『赤い砂漠』(4K修復版)は、ミケランジェロ・アントニオーニの初のカラー作品で、1964年の第25回ベネチア国際映画祭で金獅子賞に輝いた心理ドラマ。無機質な工場が立ち並ぶ海辺の工業都市ラヴェンナ。夫や息子と3人でこの街に暮らすジュリアーナは、数年前の交通事故のショックから立ち直れず、精神的に不安定な日々が続いていた。そんなある日、彼女は夫から友人コラドを紹介される。ジュリアーナは自分と同じように孤独を抱えるコラドに惹かれ、次第に距離を縮めていくが…アントニオーニ監督のミューズとして知られるモニカ・ビッティがジュリアーナ、イギリスの名優リチャード・ハリスがコラドを演じた。

© 1964 RTI

 

特集上映「ミケランジェロ・アントニオーニ レトロスペクティヴ 愛の不毛、彷徨える魂」は、8月15日(土)より全国の劇場で開催。関西では、8月21日(金)より京都・烏丸御池のアップリンク京都、8月22日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場、9月12日(土)より神戸・元町の元町映画館で開催。

フェデリコ・フェリーニやルキノ・ヴィスコンティ等と並んで、ネオレアリズモ以降のイタリア映画を代表する映画監督として知られるミケランジェロ・アントニオーニ。今回、初めて作品を拝見することとなり、後の偉大な監督にどれだけ影響を与えているのか、と存分に思い知った次第だ。特に、『愛と殺意』『敗北者たち』『女ともだち』と順に鑑賞してくと、ジャン=リュック・ゴダール監督が初期作品で如何程の影響を受けているのか、と如実に表れていると思わずにはいられない。監督作『JLG/自画像』の中で「自ら映画となる」として、ジャン・ヴィゴと並んでアントニオーニの名前を挙げており、納得してしまう。罪を犯す若者たちの不安定な情緒を丁寧に描いている、と実感させられる。そして、男女間の愛の不毛、社会に生きる人間の不安や孤独などを描いた作品が多く、今回の特集上映では、『情事』『赤い砂漠』が含まれていることは注目すべきポイントだ。特に、両作品で主演しているモニカ・ビッティは、衝撃的な出来事を受けて不安定な情緒に陥ってしまう女性を演じており、絶妙な心情描写を演技を以て豊かに表現しており、どことなく心惹かれてしまう佇まいを醸し出している。まさに、アントニオーニ監督のミューズと評されることに納得せざるを得ない。今回、修復されて日本劇場初公開となる作品も含まれており、この貴重な機会にミケランジェロ・アントニオーニ監督の世界を存分に堪能してみてはいかがでしょうか。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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