ゴダール + カリーナ + ルグラン! 3人のタッグによるヌーヴェルヴァーグのエッセンスが詰まった特集上映「エッセンシャル・ヌーヴェルヴァーグ」開催!
リチャード・リンクレイター監督作『ヌーヴェルヴァーグ』の公開を記念し、特集上映「エッセンシャル・ヌーヴェルヴァーグ」が8月7日(金)より全国で順次開催される。
特集上映「エッセンシャル・ヌーヴェルヴァーグ」では、リチャード・リンクレイター監督作『ヌーヴェルヴァーグ』の公開を記念し、ジャン=リュック・ゴダール監督のヌーヴェルヴァーグ期のエッセンスとも言うべき3作品を軸に上映する特集上映。上映作品は、『女は女である』(4K修復版)、『女と男のいる舗道』(4K修復版)、『はなればなれに』(2K修復版)のゴダール3作品と、ヌーヴェルヴァーグを代表する6人の監督たちによる短編オムニバス映画『パリところどころ』(2K修復版)。
映画『女は女である』(4K修復版)は、ジャン=リュック・ゴダールの長編第3作で、“登場人物が歌わないミュージカルコメディ”という発想に基づいて制作されたラブコメディ。キャバレーの踊り子アンジェラは一緒に暮らす恋人エミールに、今すぐに子どもが欲しいと言い出す。エミールはそんな彼女に戸惑いを隠せない。そこへ、アンジェラに想いを寄せる青年アルフレッドが現れ…
ゴダール監督の前作『小さな兵隊』に続いてアンナ・カリーナがヒロインを務め、『勝手にしやがれ』のジャン=ポール・ベルモンドがアルフレッド、『いとこ同志』のジャン=クロード・ブリアリがエミールを演じた。『シェルブールの雨傘』等の名作曲家ミシェル・ルグランが音楽を担当。

© 1961 STUDIOCANAL – Euro International Films,S.p.A.
映画『女と男のいる舗道』(4K修復版)は、ジャン=リュック・ゴダールの長編第4作で、前作『女は女である』に続き、公私にわたるパートナーのアンナ・カリーナ主演で撮りあげた作品。パリのとあるカフェで、夫と人生を語り合った末に別れることになったナナ。家賃も払えないほどの生活に陥ってしまった彼女は、街で男を誘い売春するように。やがてナナは、見知らぬ男と関係を持つことに無感覚になっていく。ミシェル・ルグランが音楽を手がけた。

© 1962.LES FILMS DE LA PLEIADE.Paris
映画『はなればなれに』(2K修復版)は、ジャン=リュック・ゴダール初期の名作で、アメリカの犯罪小説を原作に、2人の男と1人の女が織り成す恋模様や犯罪計画をコメディタッチに描いたメロドラマ。冬のパリ。性格は正反対だが親友同士のフランツとアルチュールは、北欧からやってきた美しく奥手なオディールにそろって一目ぼれをする。ある日、オディールの叔母の家に大金が眠っていることを知った3人は、その金を盗み出そうと企むが、計画は二転三転し…
当時夫婦だった、ゴダール監督とオディール役の女優アンナ・カリーナが設立した製作会社アヌーシュカ・フィルムの第1弾作品。音楽はミシェル・ルグラン。日本では長らく劇場未公開だったが2001年に初公開された。

© 1964 GAUMONT / ORSAY FILMS
映画『パリところどころ』(2K修復版)は、ヌーヴェルヴァーグを代表する 6 人の監督が、それぞれパリの街を舞台に撮りあげた短編オムニバス映画。歓楽街で出会った娼婦を自宅に連れ込んだ気弱な男性を描く「サンドニ街」(ジャン=ダニエル・ポレ監督)、駅から離れたアパートで恋人と暮らす女性が、彼と口論して怒りを抱えたまま出勤する途中で思わぬ出来事に遭う「北駅」(ジャン・ルーシュ監督)、学生街を舞台に繰り広げられる若者たちの恋愛模様をつづった「サンジェルマン・デ・プレ」(ジャン・ドゥーシェ監督)、エトワール広場を通って職場へ向かう男性が次々とトラブルに見舞われる「エトワール広場」(エリック・ロメール監督)、2人の相手にそれぞれラブレターを書いた女性が中身を取り違えてポストに投函してしまう「モンパルナスとルヴァロワ」(ジャン=リュック・ゴダール監督)、高級住宅街に暮らすブルジョワ家庭を襲う悲劇を息子の視点から描いた「ラ・ミュエット」(クロード・シャブロル監督)の全6話で構成。『冒険者たち』のジョアンナ・シムカス、『バベットの晩餐会』のステファーヌ・オードラン、本作の製作も手がけるバーベット・シュローダーらが出演している。

© LES FILMS DU LOSANGE 1965
特集上映「エッセンシャル・ヌーヴェルヴァーグ」は、8月7日(金)より全国の劇場で開催。関西では、8月8日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場、9月4日(金)より神戸・元町の元町映画館、9月26日(土)より京都・烏丸の京都シネマ、9月に和歌山のシネマ203で開催。
ヌーヴェルヴァーグの特集上映は本当にありがたい。リチャード・リンクレイター監督の『ヌーヴェルヴァーグ』、これを受け、ジャン=リュック・ゴダール監督の長編デビュー作『勝手にしやがれ』を観て、熱が高まっている中で、今回の名作を鑑賞していった。特に、2K修復版では本邦初公開『パリところどころ』は、ヌーヴェルヴァーグを代表する6人の監督が、パリの6つの場所を舞台に、それぞれの場所から見たパリをテーマにした物語を並べている。
まず、出てくる男が皆酷い。酷いというか、嫌な人というか、そんな印象を抱く登場人物が多かった。『勝手にしやがれ』のミシェル・ポワカールも大概であったことを思い出す。全体的に人の話を聞いていない…というか、女性をバカにしている雰囲気もあった。1960年代のパリに住む男性がそうだったのか、そう映る人たちを題材にすることが多かったのか…ヌーヴェルヴァーグは、フランス映画への反発も盛り込まれており、どうしようもない登場人物を画面の中で右往左往させる可笑しみが伝わってきた。
特に印象的だったのはエリック・ロメール監督による「エトワール広場」。映画公開の後、シャルル・ド・ゴール広場と改称された、凱旋門のあるあの広場の円周を使った使った喜劇だ。冒頭、この広場の説明を丁寧にしてくれる。観光客とは違った、地元民目線の凱旋門周辺の情報。主人公は地下鉄通勤をしている男性。広場のワグラム通り出口から階段を上り、ほぼ反対側にある仕事場まで歩いて向かう。男性は元400メートル走のランナーで、50秒8の記録を持っている(陸上部で早い方と言われるくらいらしい!)。ある日の通勤時、やんちゃな男性にぶつかり、揉め、突き倒してしまう。通勤集団の次の波が迫っている今、彼が取った行動は、ぜひ映画館で見てしい。あまりにも阿保らしくもあるが、気持ちはわかる。その後の気が気じゃない彼が少しだけ愛おしく思えてしまう。
そして、今回の特集上映には、これまでにリマスター版やイベント上映などで度々組まれているジャン=リュック・ゴダール監督の初期作品がしっかりと詰め込まれており、”ヌーヴェルヴァーグ”の何が革命的だったのか、当時はどういった状況だったのか、を感じながら実際の作品を観られる環境が整っている今こそ、ぜひ劇場で体験してほしい。
fromブライトマン
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
- 最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

















