回復する見込みがない手足をめぐる治療法によって、合理性と狂気の狭間へ踏み込んでいく『廃用身』がいよいよ劇場公開!
©2025 N.R.E.
デイケアクリニックの院長が画期的な治療を考案し、出版社が老齢期医療の革命として噂を聞きつけるが、内部告発によって暗雲が立ちこめていく『廃用身』が5月15日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『廃用身』…
デイケア施設「異人坂クリニック」に通う高齢者の間では、院長の漆原糾が考案した画期的な治療が密かに広まっていた。コストパフォーマンスに優れた介護を目指すその医療行為は、「廃用身(麻痺などにより回復見込みがない手足のこと)」をめぐるもので、「身体も心も軽くなった」「厳しい性格が柔らかくなった」などと予想外の“好ましい副作用”が現れたという。噂を聞きつけた編集者の矢倉は、老齢期医療に革命を起こす可能性を感じ、漆原に本の出版を打診する。しかし、デイケアに関する内部告発が週刊誌に流出し、さらに患者宅で衝撃的な事件が起こったことで、すべてが暗転していく。
本作は、現役医師の作家である久坂部羊さんが2003年に発表したデビュー小説を、染谷将太さんが主演を務めて映画化したヒューマンサスペンス。理想を追い求めるあまり合理性と狂気の狭間へと踏み込んでいく医師の漆原を染谷将太さんが怪演し、編集者の矢倉を北村有起哉さん、漆原の治療で人生を取り戻した高齢者の岩上を六平直政、漆原の妻である菊子を瀧内公美さんが演じる。監督・脚本は『家族X』『三つの光』等で国内外から注目を集めてきた吉田光希さんが務めた。

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映画『廃用身』は、5月15日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や三条のMOVIX京都、神戸・三宮のOSシネマズミント神戸等で公開。
麻痺などにより回復の見込みがない手や足があると、ご自身や介護をする方にとっては大変なことだろう。そんな手や足の症状が無くなれば、どれほど楽になるだろう、と思った方もいるのではなかろうか。いや、それも自身の個性だと前向きに捉える方もいるだろうか。そんな手や足を、医学・介護の現場では、「廃用身」と呼ぶようだ。”廃”という漢字を用いていることに驚いてしまうが、現実的な漢字の割り当て方だろうか。本作では、そんな「廃用身」を手術を以て切断し、”コスパ”に優れた介護を目指そうとしているのだ。”介護”がコスパを抑えることをしていいのだろうか、と人道的にも思わずにはいられない。だが、手術が行われた方は「身体も心も軽くなった」「厳しい性格が柔らかくなった」と、物理的にも精神的にも良き影響を与えていることに驚くばかり。作中では、この手術の普及を促進しようとするわけだが、逆風が吹くが如く、事件が起こっていく。このようなストーリーテリングの元となった原作小説を執筆したのが、現役医師である作家の方であることにも驚くばかり。実際の医療現場では様々な状況に対峙したからこそ、フィクションの世界ではこのようなことを書くことができるのか!?と思わずにはいられない。そして、そのようなストーリーは最終的には観る者を儚げな気持ちにさせてしまうのは、本作を手掛けた吉田光希監督のフィルモグラフィを考えてみると、自然と納得してしまう。そんな「廃用身」について、ご覧になった方と是非語り合ってみたい。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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