分断の時代における人々の連帯を描いた『オールド・オーク』がいよいよ劇場公開!
©Sixteen Oak Limited, Why Not Productions, Goodfellas, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinema and The British Film Institute 2023
炭鉱の町で最後に残ったパブを舞台に、難民の受け入れをきっかけに揺れる地域社会や、パブの店主とシリア人女性の友情を描く『オールド・オーク』が4月24日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『オールド・オーク』…
イングランド北部にある炭鉱の町で、最後に残ったパブとして住民たちから親しまれる「オールド・オーク」。町が活気にあふれていた時代から約30年が過ぎ、現在は厳しい状況に陥っているが、店主のTJ・バランタインは試行錯誤しながら経営を維持していた。しかし町がシリア難民を受け入れはじめたことで、人々が安らぎを見いだす場所だったはずのパブが、居場所を争う場へと変貌してしまう。そんな店の先行きに頭を抱えていたTJは、カメラを携えたシリアの女性ヤラと出会い、思いがけず友情を育んでいく。
本作は、イギリスの巨匠ケン・ローチ監督が、『わたしは、ダニエル・ブレイク』『家族を想うとき』に続く「イギリス北東部3部作」の最終章として撮りあげた。ローチ監督と数々の名作でタッグを組んできたポール・ラバーティが脚本を手がけ、温かくもリアリズムあふれるまなざしで描き出す。パブの店主TJ役に、『わたしは、ダニエル・ブレイク』『家族を想うとき』にも出演したデイブ・ターナー。2023年の第76回ロカルノ国際映画祭で観客賞を受賞。第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された。

©Sixteen Oak Limited, Why Not Productions, Goodfellas, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinema and The British Film Institute 2023
映画『オールド・オーク』は、4月24日(金)より全国の劇場で公開。関西では、4月24日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田や京都・烏丸の京都シネマや兵庫・神戸のシネ・リーブル神戸、5月1日(金)より大阪・箕面の109シネマズ箕面で公開。
以前、移民の方が沢山住んでいる町で働いていたことがある。同僚の方からは、なぜ移民の方が多いか、について歴史も含めて伺った。その内容を聞けば、自治体が積極的に移民の方が住みやすい環境を整えていることに納得できる。お互いを理解するために様々な異文化コミュニケーションが大切であることが十分に理解できた。だが、そんな町に、他所からヘイトスピーチを謳う地方議員がやってきて、過去の経緯や歴史を一切知らずに偏見を唱え分断を煽っている。どれ程愚かなことだろうか。本作を観ると、イングランド北部にある町と日本の地方に何の違いがあるのだろうか、と思わずにはいられない。今作においても、何故難民になってしまったのか、シリア難民を受け入れはじめた理由すらも知らず、一方的に罵声を浴びせる、といった暴力的な行動を執る若者が登場する。だが、その若者もこの町で生まれ育っているのではなく、他所の町から移ってきた者だ。だが、それぞれの状況は違うので、同族嫌悪ではない。そして、自身なりの都合による町への愛着がある者は、過去の価値観にしがみつき、本質的な変化を嫌い、移民や難民を受け入れない。今やそんな町は廃れていく一方だ。結局、移民・難民の問題を掲げる前に、自らの課題を見つめる必要がある、と本作を観ていると自然と気づかされる。だが、そんな町でも、過去の苦しい歴史と対峙した上で新しき者に優しい目で見つめる人間がいるのだ。されど、過去にしがみついている者との軋轢がさけられないことが、何とも切ない。だが、どのような状況においても、苦しい時こそ皆が連帯していくことの大切さを本作は訴えている。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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