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オッペンハイマーを裏切った男のドキュメンタリー『原爆スパイ』がいよいよ関西の劇場でも公開!

2025年8月19日

©Participant Film

 

第2次大戦下で、マンハッタン計画に関わった最年少物理学者セオドア・アルビン・ホールが、国家機密をソ連へ密かに流していた理由や、彼の行動が世界をどう変えたのか、再現映像を交えて描く『原爆スパイ』が8月22日(金)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『原爆スパイ』は、『フープ・ドリームス』『スティーヴィー』等で知られるアメリカのドキュメンタリー作家スティーブ・ジェームズが、米ソの核開発をめぐる知られざる真実に迫ったドキュメンタリー。第2次世界大戦中の「マンハッタン計画」に最年少の18歳で採用され、オッペンハイマー博士の下で原子爆弾の研究・開発に携わった天才物理学者セオドア・アルビン・ホール。アメリカによる原爆の独占を危険視した彼は、開発に関わる国家機密情報をソ連へと流していた。1人の物理学者の大胆な行動が世界をどのように変えたのか。同様のスパイ容疑でローゼンバーグ夫妻が死刑判決を受けた一方で、なぜ彼は裁かれなかったのか。そして彼の妻と娘たちはどのように秘密を共有し、共に生きたのか。丹念な取材と再現映像を交えながら、原爆投下という「力による和平」に疑義を唱えたホールとその家族の物語をひも解き、核開発をめぐる大国の思惑を克明に描き出す。

 

©Participant Film

 

映画『原爆スパイ』は、関西では、8月22日(金)より京都・烏丸御池のアップリンク京都、9月6日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場で公開。また、神戸・元町の元町映画館でも近日公開。

昨年、日本でも公開された映画『オッペンハイマー』。冒頭では、J・ロバート・オッペンハイマーにスパイ容疑がかけられ、原子力委員会の聴聞会で共産主義者や他国の科学者との関係を追及されるシーンがあった。その裏側では、本作で映し出される出来事が起きていたのか、と改めて認識させられる。オッペンハイマー博士の下で原子爆弾の研究・開発に携わっていた物理学者の中には、この研究について疑問を持っていたのか、と気づかされる。自国が戦争に勝利するために開発していたとしても、結局は、人殺しに貢献することに気づかされると苛まれてしまうのは、自然な流れか。現代においても、同様のことに苛まれてしまう技術者がいることは、学生の頃から存じていたが、いつの時代においても変わらないのだ。そこで、本作では、当時18歳の最年少物理学者セオドア・アルビン・ホールにスポットが当てられていく。彼は、原子爆弾の威力を知るにつれ、「アメリカの原爆独占は危険だ」と考えるようになり、盟友と共にソ連へ機密情報を密かに提供することを決意する。それは、どれだけ危険なことであるか、彼自身も気づいていただろう。だが、本作を観ながら、彼がどのような真意を以てソ連政府に原爆に関する情報を渡していたのか、じっくりと考え込んでしまう。そして、日本人として、どの立場で鑑賞すべきか、自ずと考えずにはいられない。されど、原爆によって世界はどうなってしまったのか、は周知の事実。戦後80年の今年、改めて、本作を鑑賞する意義がある、と信じたい。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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