戦後80年、生涯をかけて平和を伝えてきてくださった方々から私達がバトンを受け取る時期…『雪風 YUKIKAZE』舞台挨拶付き先行上映開催!

太平洋戦争で沈むことなく終戦を迎えた、唯一の駆逐艦“雪風”の乗組員達を描いた戦争映画『雪風 YUKIKAZE』が8月15日(金)より全国の劇場で公開される。8月5日(火)には、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田に竹野内豊さん、奥平大兼さん、田中麗奈さん、脚本の長谷川康夫さん、山田敏久監督迎え舞台挨拶付き先行上映が開催された。
映画『雪風 YUKIKAZE』は、太平洋戦争中に実在した駆逐艦である”雪風”の史実をもとに、戦中から戦後、さらに現代へとつながる激動の時代を懸命に生き抜いた人々の姿とその運命を、壮大なスケールで描く。様々な資料を基に映画オリジナルの登場人物として生み出された”雪風”の艦長である寺澤一利を竹野内豊さんが演じる。太平洋戦争下、数々の激戦を最前線で戦い抜き、ほぼ無傷で終戦を迎えた駆逐艦である”雪風”。軽量で機動性に優れていることから、艦隊の先陣を切って魚雷戦を仕掛け、対空戦闘によって戦艦や空母といった主力艦を護衛するのが駆逐艦の役目であり、”雪風”は任務を果たしながら、幾多の戦場を生き抜いていく。そして、最後まで戦場に留まり、沈没する僚艦から海に投げ出された仲間たちを救助して帰還することも多く、時には敵兵にも手を差し伸べた。”雪風”は戦うために出撃しながらも、最後は必ず人を救って戻ってくることから、「幸運艦」「不沈艦」と称された。アメリカをはじめとする戦勝国からも讃えられた”雪風”の雄姿を、史実に基づいたフィクションとしてよみがえらせる。主演の竹野内さんのほか、玉木宏さん、奥平大兼さん、當真あみさん、田中麗奈さん、益岡徹さん、石丸幹二さん、中井貴一さんら、そうそうたる顔ぶれのキャストが結集。監督は『聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実』『空母いぶき』の助監督を務めた山田敏久さん。脚本も同じく『空母いぶき』等を手がけた長谷川康夫さんが担当した。
今回、上映前に竹野内豊さん、奥平大兼さん、田中麗奈さん、脚本の長谷川康夫さん、山田敏久監督が登壇。普段は舞台公演に出演しない竹野内さんは、舞台挨拶といった機会でこそお客様の前に登壇することができ、喜んでいる。奥平さんは、本作のキャンペーンで広島や名古屋の舞台挨拶に登壇しており、大阪での機会も楽しみにしてきた。田中さんは、日本一の席数があるシアターに圧倒され、感激している。長谷川さんは、脚本家の立場でありながらも登壇する機会を光栄に感じていた。山田監督は、大きな作品の監督を担った重責を感じながらも、今回の登壇に感無量だ。
大阪について、竹野内さんは「元気!」と断言。そして、今回はたこ焼きをいただき「美味しいですね」と讃え「関西の方が東京に来られて”大阪のたこ焼きが美味いで。一度でもいいから食べてもらいたい”って。言っている意味がよく分かりました。まろやか。優しいですよね」とお気に入り。奥平さんは、お笑い文化のイメージが強く「小さい頃から吉本新喜劇をテレビでずっと観ていて、真似していた。生で観たことがなかったので、なんばグランド花月に是非行ってみたいな」と切望している。田中さんもお笑いのイメージがあり「なんば(グランド花月)に行きましたよ。生で観る漫才は、スピード感が早いですよね。あんなことできない、とか思いながら。実際に観ると、笑いのタイミングや迫力も感じられたので、凄いな」と感心していた。大阪出身の長谷川さんは、焼肉を挙げ「昔、演劇をやっていました。東京公演が終わると必ず大阪公演がありまして、年3回ぐらいは大阪に来ていたんです。来ると必ず劇団の仲間達と一緒に毎日のように鶴橋に行って焼肉を食べるということが物凄い楽しみでした」と振り返る。京都出身の山田監督は、大阪には友達と梅田や難波へ遊びに来ていたことがあり「吉本新喜劇は子供の頃からずっと観ております。京都花月が新京極にあった頃から通っていました。新喜劇の映画をチーフ助監督として1本携わったことがあります」と明かし、奥平さんは「こんなにも身近に…」と驚いていた。
演じた寺澤一利役について、竹野内豊さんは「世界が不穏な情勢で包まれる中で、日々、私だけではなく多くの方々が日常に少し違和感を感じる瞬間はあると思うんですけども…そんな中で、自分に何が出来るか、というわけでないんですけど…俳優業という職業を通じて出来ることがないかな、と悶々と考えていた時にこの役へのオファーをいただきました」と述べ「海軍役は初めてなんですが、自国を守る駆逐艦の艦長たる重責は、想像を絶するもの。どんなに考えても、どういう風に役作りをしたらいいのか、正しい答えを見出すことも出来ず撮影に入っていった」と振り返る。改めて「気づいてみると、1人1人の乗組員を演じられたキャストの皆さんが自分を信じて、それぞれの役を演じられている姿を見た時、とても刺激になりました。気づいてみると、艦長にさせていただけたな」といった印象が残っていた。脚本については「寺澤は、武士道を重んじる人物です。作品全体に武士道が描かれている」と感じ「どんなことがあろうとも勇敢に戦う軍人を美徳とするわけではなく、必ず生きて帰す。命をつなげていく。そこに最大の物語のテーマがあり、非常に感銘を受けました。この戦後80年というタイミングで、多くの方々に今こそ伝えるべき作品だな」と気づかされていた。
戦争を題材にした作品に初めて出演した奥平さんは脚本を読み「あまりにも自分が無知過ぎた」と痛感し「劇中で起きていることについて、全く分からないことが多くて…雪風自体も知らなかった」と告白。そういった中で、資料を見たり知識をつけていったりしていく中で「とても知っておくべきことが多い台本なんだな」と認識し「僕等と同い年ぐらいの子達は、戦争について知らないことが多いんじゃないかな」と気づく。そして「戦争に関しての話を聞ける機会がだんだんと少なくなってきています。その中で、どのように後世に伝えていくか」と考え「生きている僕達が大人になった時に伝えていくことが大切なんだな。この映画を通して、そういう方が増えればいいな」と願いながら、演じてきた。
艦長である夫の帰りを待つ妻の役を演じた田中さんは「夫を待つ、ということの重みが現代とは全然違う」と認識。撮影に入る前、「海軍の家族」という書籍を読み「海軍の父がいる娘さんが書いたエッセイには、”父は時々帰ってきて、沢山遊んでくれた”、”一度海に出ると何ヶ月も帰ってこれないから、帰ってきた時には家が引っ越していて、驚いていた”とか書かれていて、大変な時期でも家族といる時期がとても煌めいていた。心があったかいことを想像させてもらえたので、こういった作品でも、一緒にいる時にホッとできるような空気が感じられるようなシーンになればいいな」と願い、演じてきた。
最後に、竹野内さんは「戦争を語るのは難しい。いかなる資料を歴史として読んで知識を得たとしても、当時を生きた人々の心情は分かることではない」と打ち明けながら「実際、私達は、戦争の実体験を少しずつ聞くことが出来なくなってきています。時と共に、どうしても人間は同じ過ちを繰り返す生き物です。頭の中では分かっていながらも、戦争がいけないことを分かっていながらも、少しずつ時と共に、戦争という現実味が薄れていってしまう」と説く。そして「生涯をかけて平和を伝えてきてくださった方々から、今度は私達がバトンを80年というタイミングで受け取る時期だと思うんです。当時を生きた人々の心情を映画で皆さんと一緒に体感することによって、情景として皆さんの心の奥深くに記憶として残るといいな、と思っております。本当にもう二度とあのような惨状を起こしてはならないと思っております」と思いを込め、舞台挨拶を締め括った。
映画『雪風 YUKIKAZE』は、8月15日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田、心斎橋のイオンシネマシアタス心斎橋やkino cinema 心斎橋、難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や三条のMOVIX京都や九条のT・ジョイ京都、神戸・三宮のOSシネマズミント神戸等で公開。

- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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