ソープ嬢が認知症の祖母を介護する1週間を描く『うぉっしゅ』がいよいよ劇場公開!

©役式
ソープ店で働く女性が、認知症の祖母の介護を通して、かけがえのない家族としての時間を過ごしていく『うぉっしゅ』が5月2日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『うぉっしゅ』は、認知症の祖母の介護をすることになったソープ嬢の葛藤と、祖母と孫の結びつきをコミカルに描いた人間ドラマ。ソープ店で働く加那はある日、母から一週間だけ認知症の祖母の介護を頼まれ、仕事でも祖母の介護でも「人の身体を洗う」というダブルワークの日々がスタートする。祖母・紀江は認知症のため孫の名前すら覚えていない状態のため、2人は会うたびに初対面のようなやりとりを繰り返す。どうせ話をしても忘れてしまう祖母に、親には隠している仕事のことを自由に打ち明けられることに気付いた加那は、そこから徐々に祖母との心の距離が縮まっていく。祖母の介護をする中で、それまで知ることがなかった祖母のこれまでの人生と孤独が垣間見え、加那は自分自身のことを見つめ直すようになる。
本作は、永六輔さんの孫で『安楽死のススメ』で映画監督デビューした岡﨑育之介さんが、自身の祖母の話をもとにオリジナル脚本で手がけた。加那役を『暁闇』『窓辺にて』の中尾有伽さん、祖母の紀江役を歌手でコメディエンヌとしても定評のある研ナオコさんがそれぞれ演じる。
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映画『うぉっしゅ』は、4月25日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都、神戸・三宮のOSシネマズミント神戸やkino cinema 神戸国際等で公開。

昨年開催された第19回大阪アジアン映画祭のインディ・フォーラム部門で世界初上映された本作を鑑賞しており、印象深く残っている本作がいよいよ劇場公開だ。長年コンスタントに映画に出演し続けてきた研ナオコさん、近年では『PERFECT DAYS』に 野良猫と遊ぶ女性として出演していたを憶えている。おばあちゃん役が板についているが、今作では、認知症が進み介護が必要なおばあちゃん。孫と久しぶりに会っても、分かっているのか分かっていないのか定かではない。孫にとっては久しぶりの再会が嬉しいが、その姿にはショックしかないだろう。とはいえ、自らの仕事であるソープ嬢の経験を活かすと共に、残されたメモとインターネット上に公開されている介護スキルを基にして、不慣れながらも介護に励んでいく…と書くと、大変な仕事に従事している人々を描いた社会派ドラマのように感じられるかもしれない。だが、本作は、苦労だけを描くのではなく、相手を喜ばせるためには自らが楽しもうとする姿を実直に描いているので好感が持てる。現実は映画が描かれている以上に過酷だろう。だが、映画だからこそポップに描くことで理解を深めていくためのきっかけとなるだろうか。”身体を洗う”ことで、誰かのココロが洗われていくことに繋がるのであれば、本作が制作された意義があるのではないか、と受けとめたい。だからこそ、劇場で他のお客さんと笑い泣きしながら本作を楽しんでみてはいかがでしょうか。

- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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