『ぼく明日』を観て気になった人は京都みなみ会館に行ってみよう
現在公開中の映画『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』には、京都みなみ会館が本の少しだけ登場する。
『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』は、京都精華大学出身の小説家である七月隆文さんのベストセラー小説を、「ストロボ・エッジ」の福士蒼汰さん、「バクマン。」の小松菜奈さんら共演で実写映画化したファンタジックラブストーリー。「僕等がいた」「アオハライド」などの青春映画を手がけてきた三木孝浩監督と脚本家の吉田智子さんが再タッグを組み、京都の風光明媚な景色を背景に20歳の男女の甘く切ない純愛を描く。ストーリーは美大生の高寿は、通学電車の中で見かけた女性・愛美に一目ぼれするところから始まる。勇気を出して声を掛け、会う約束を取りつけようとする高寿だったが、愛美はなぜか泣き出してしまう。意気投合した高寿と愛美は付き合い、幸せな日々を過ごしていくが、ある日、高寿は愛美から信じられないような秘密を明かされる。
映画の中では、東出昌大演じる高寿の友人である正一から促され、電話の会話内で高寿が愛美をデートプランを提案する際に、横で正一が紙に書いてデートプランを示す。その中に「みなみ会館」が登場する。「みなみ会館」の文字を見て、関西のミニシアター好きの人間は喜ぶところなのだが、高寿は「みなみ会館って何!?」というセリフを呟いてしまう……
これは、関西のミニシアター好きの人間としては、納得がいかないところだ。高寿は京都府に隣接する大阪府枚方市出身で京都木野美術大学(架空の大学)に通いカートゥーンを学ぶ美大生、幼い頃は八幡市にあるたこ焼き屋さんでよくたこ焼きを食べていた、という設定だ。この設定で、京都みなみ会館を知らない、というのはなんとも歯がゆいことだと思ってしまう。これは、全国の映画館で鑑賞するお客さんを意識して、観客が思うことを高寿に体現してもらうことを優先した結果だろうか。
ならば、今作をきっかけにぜひ全国の観客に「京都みなみ会館」を知ってもらいたい。京都みなみ会館は、京都東寺近くにある映画館。いわゆるインディペンデント系の作品を上映するミニシアター系映画館に分類される。世に広く知られていなくとも良質の作品を人間ドラマからドキュメンタリーまで幅広いジャンルから厳選して上映している。最近では、特撮やホラーなどの特集上映やオールナイト上映も行われている。今や全国にたくさんあるシネコン系映画館とは一風違った場所で、映画の新発見ができるのではないだろうか。実際のデートでの映画鑑賞シーンでは、スクリーン向かって右側の前から6列目に入ったところに座って楽しそうに鑑賞しているところが映し出されている。デートに誘うシーンからでは架空の作品を正一は推薦したようだが、本当のみなみ会館も楽しめる作品が充実している。
映画『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』を鑑賞して、実際のデートと同じ道を辿ってみるのも、おもしろいことだ。三条大橋で待ち合わせして、四条や北山にまで周遊して九条にあるみなみ会館に向かうというかなりの距離を移動するわけだけれども。最後にみなみ会館まで来て、もしおもしろそうかなと思った映画があれば、思い切って観てみることをオススメしたい。そこから映画との関係が少しでも変化していけば、みなみ会館のスタッフらも喜ぶことだろう。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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