たくましく生きる市民と権利を渇望する女性たちの姿を描いた『ドマーニ! 愛のことづて』がいよいよ劇場公開!

©2023 WILDSIDE S.r.l – VISION DISTRIBUTION S.p.A
戦後間もないローマを舞台に、夫の暴力に悩みながらも仕事をかけ持って家計を支える女性が、心の休息を得ていく様をユーモラスに描く『ドマーニ! 愛のことづて』が3月14日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『ドマーニ! 愛のことづて』は、戦後ローマでたくましく生きる市井の人々と権利を渇望する女性たちの姿を描いたドラマ。1946年5月、ローマにある半地下の家で家族と暮らすデリアは、夫イヴァーノの暴力に悩まされながらも意地悪な義父の介護や家事をこなし、さらに複数の仕事を掛け持ちして家計を助けている。過酷な毎日を送る彼女にとって、市場で青果店を営む友人マリーザや自動車工のニーノと過ごす時間だけが心休まるときだった。母の生き方に不満を感じている長女マルチェッラは、裕福な家の息子ジュリオからプロポーズされ、彼の家族を自宅に招いて昼食会を開くことに。そんなある日、デリアのもとに1通の謎めいた手紙が届く。
本作では、『ジョルダーニ家の人々』等で知られるイタリアのコメディアンで俳優のパオラ・コルテッレージが初メガホンをとり、自ら主演を務めた。夫イヴァーノ役は『おとなの事情』のバレリ・オマスタンドレアが演じている。2023年のイタリア国内興行収入第1位を記録した。なお、イタリア映画祭2024では『まだ明日がある』のタイトルで上映されている。
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映画『ドマーニ! 愛のことづて』は、3月14日(金)より全国の劇場で公開。関西では、3月14日(金)より大阪・心斎橋のイオンシネマシアタス心斎橋や京都・烏丸の京都シネマ等、3月15日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場、3月29日(土)より神戸・元町の元町映画館で公開。

第二次世界大戦が終戦した後のイタリアにおいても、こんなにも男尊女卑が激しいのか、と憤りしか感じ得ない描写が冒頭から続いていく本作。それでも、主人公のデリアは、家父長制が著しい状況下においても、家族のために家事といくつもの仕事に勤しんでいた。そんな姿勢について娘から疎ましく接せられも、やめることはない。そんな時、娘の婚約者の家族との食事会を開くことになっても、結局は、家父長制における母親の姿を変えることはなかった。やるせなさを感じずにはいられない。…と辛くなるようなシーンの連続だと思われるかもしれないが、時折に少しだけクスっと笑わせてくれるようなシーンが挟み込まれるのがせめてもの救いだ。そして、注目すべきは、彼女に届いた”1通の謎めいた手紙”である。彼女個人宛に届けられたものであるが、それが何であるか最後まで明かされない。正体が分かった時、希望の兆しに気づかされるのだ。それを”愛のことづて”と表現した方のセンスは素晴らしい。本作の原題は「C’e ancora domani」、直訳すれば、”まだ明日がある”だ。まさに、”明日”を感じさせてくれるクライマックスであり、是非とも最後まで見届けてほしい作品である。

- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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