ユダヤ人街で家族と暮らしていた男児が教会に連れ去られてしまう事件を基にした『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』がいよいよ劇場公開!
©IBC MOVIE / KAVAC FILM / AD VITAM PRODUCTION / MATCH FACTORY PRODUCTIONS (2023)
19世紀中盤のイタリアで起きた実際の事件を基に、揺らぐ権力を強化しようとするカトリック教会の横暴を描く『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』が4月26日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』は、19世紀イタリアで、カトリック教会が権力の強化のために7歳になる少年エドガルド・モルターラを両親のもとから連れ去り、世界で論争を巻き起こした史実をもとに描いたドラマ。1858年、ボローニャのユダヤ人街に暮らすモルターラ家に、時の教皇ピウス9世の命を受けた兵士たちが押し入り、何者かにカトリックの洗礼を受けたとされるモルターラ家の7歳になる息子エドガルドを連れ去ってしまう。教会の法に則れば、洗礼を受けたエドガルドをキリスト教徒でない両親が育てることはできないからだ。息子を取り戻そうとする奮闘する両親は、世論や国際的なユダヤ人社会の支えも得るが、教会とローマ教皇は揺らぎつつある権力を強化するために、エドガルドの返還に決して応じようとはせず…
本作の監督・脚本は、『甘き人生』『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』『シチリアーノ 裏切りの美学』等で知られるイタリアの巨匠マルコ・ベロッキオ。教皇ピウス9世役はベロッキオ監督の『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』にも出演したパオロ・ピエロボンが務めた。
©IBC MOVIE / KAVAC FILM / AD VITAM PRODUCTION / MATCH FACTORY PRODUCTIONS (2023)
映画『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』は、4月26日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のテアトル梅田、京都・烏丸の京都シネマ、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
19世紀中盤のイタリア、リベラルな世論が浸透していく中で、カトリック教会が権力の強化のために成したことは、赤子であるユダヤ人に対し秘密裏に洗礼を授けたこと。受洗者はカトリック教育を受けなければならない原理に則り、少年となったエドガルド・モルターラは誘拐されてしまう。自分達の権威を保持するためなら、何をしてもいいのか。歴上、カトリックが何をしてきたか、良くも悪くも知られているが、このようなことまで”神の思し召し”としていることに憤りを感じずにはいられない。エドガルドが誘拐された時、まだ7歳だった。宗教に対して判断することは出来ない。抵抗も反撃も出来ず、カトリックの教育に対して順応していき、司祭にもなっていく。教皇に忠実な人生を歩もうとしてしまい、ユダヤ教徒である両親すら改宗させようとしてしまう。だが、そのようなことを実践していくカトリックに対して決して社会が許さないはずはない。エドガルドが受洗されたのは偶然だったか、運命だったか、本質的には定かではないが、最終的に彼が選択した先の顛末をより知りたくなった。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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