トラウマを抱えた少年の成長と変化を描くアニメーション『行方不明』が第19回大阪アジアン映画祭のコンペティション部門で日本初上映!
©Project 8 Projects
かつて経験したトラウマとの戦いをロトスコープと2Dアニメのハイブリッドで描くフィリピンのアニメーション映画『行方不明』が第19回大阪アジアン映画祭のコンペティション部門で日本初上映された。
映画『行方不明』…
首から下げたホワイトボードで他人と交流する「口のない」アニメーターの青年。おじの安否確認に行った先で、エイリアンに襲われ…。トラウマとの闘いを描いた感動のアニメーション。実写映像をベースにアニメーション化するロトスコープという手法で制作。『逆転のトライアングル』のドリー・デ・レオンが母役を演じている。
©Project 8 Projects
映画『行方不明』は、3月8日(金)13:00よりABCホールでも上映。
フィリピンの実力派俳優陣がグリーンバックで撮影された映像を基にして作成されたロトスコープによるアニメーションを基調にしながら、幼い頃の出来事を2Dアニメーションで描いた上で組み合わせ完成させたことが興味深い本作。冒頭から、主人公の口がない状態を見せられ、耳は聞こえるが、何らかの事情によって話せないことが端的に分かる。ホワイトボードとマジックを使用したコミュニケーションを行っており、他者と対面してもスマートフォンのビデオ通話でも会話できることが分かり、日常生活に起きる支障は最低限にしているようだ。周囲の人間も主人公の事情を把握しており、困難があっても優しく接していることが分かりホッとする。職場では”仲の良い”同僚もおり、母親は瞬時に察したようだ。とはいえ、フィリピンはキリスト教・カトリックが強い国であるので、どれほどの寛容性を以て描いているか伝わってきた。…と微笑ましく作品を観ていたら、UFOにさらわれるエイリアン・アブダクションまで見せられ、メタファであるとはいえ、予想外の展開を見せられ、ますます作品に引き寄せられていく。最終的には主人公がココロに抱えていたもののルーツに至る。実に良く出来たストーリーテリングであり、本作がアカデミー賞フィリピン代表作になるのが納得の出来栄えである。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
- 最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!