フィリピンパブの裏側で横行している偽装結婚を背景に多文化共生の在り方を描く『フィリピンパブ嬢の社会学』がいよいよ関西の劇場でも公開!
フィリピンパブを研究対象にしている大学院生が、パブのフィリピン女性と親しくなり、過酷な生活環境を目の当たりにしていく『フィリピンパブ嬢の社会学』が3月1日(金)より関西の劇場で公開される。
映画『フィリピンパブ嬢の社会学』は、筆者の実体験を基につづられた新書「フィリピンパブ嬢の社会学」(著:中島弘象)を映画化し、日本で働く外国人女性労働者の実態をリアルに描いたラブストーリー。フィリピンパブを研究対象にしている大学院生の中島翔太は、パブで出会ったフィリピン人女性ミカと交際することに。ミカは月給6万円で休みは月2回だけという過酷な環境で働かされており、偽装結婚までしていた。そんな状況に負けることなくミカは前向きに働き続け、フィリピンの両親のもとに翔太を連れて行く。ミカを大切に思う気持ちを次第に強めていった翔太は、彼女に頼まれてヤクザのもとへ乗り込むことになるが…
本作は、『奇跡』の前田航基さんが主人公の翔太、本作が女優デビュー作となる一宮レイゼルさんがミカを演じ、津田寛治さん、近藤芳正さん、田中美里さんらが脇を固める。監督は『能登の花ヨメ』『あしやのきゅうしょく』の白羽弥仁さんが務めた。
映画『フィリピンパブ嬢の社会学』は、関西では、3月1日(金)より大阪・難波のなんばパークスシネマ、3月9日(土)より大阪・十三のシアターセブン、3月29日(金)より神戸・三宮のkino cinéma神戸国際、4月5日(金)より京都・三条のMOVIX京都で公開。
小説以外の書籍を原作にした映画を多く手掛けるようになった白羽弥仁監督。今作では、新書「フィリピンパブ嬢の社会学」が原作である。書店で本書を見かけたような気がするが、このタイトルだけだと、社会学の視点から、フィリピンパブ嬢を分析し説いているものだろう、という認識しかなった。だが、本作は、著者である中島弘象さんの実体験を綴ったノンフィクションでもあったのですね。それだけでも十分に驚かされる。それは、映画化したら実におもしろい作品が出来上がりますよね。とはいえ、一歩間違えれば物議を醸してしまう作品になり兼ねないので、中島さんに十分リサーチし映画としてのオリジナル要素を交えて白羽監督作品として作り込んでいますね。だからこそ、多様性が重んじられる2020年代の現代だからこそ、人それぞれの幸せがあるべきだ、といったようなメッセージが伝わってくる。現政権下におけるフィリピンという国家の価値観によって大変なことは大いにあるだろうが、大学院生の中島とフィリピン人女性のミカが選んだ人生には大いに拍手を送りたい。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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