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独裁者たちが互いを嘲笑し、揶揄し、自己陶酔する『独裁者たちのとき』がいよいよ関西の劇場でも公開!

2023年5月30日

アーカイブ映像を駆使して、第2次世界大戦の独裁者たちが一堂に会する『独裁者たちのとき』が6月2日(金)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『独裁者たちのとき』は、ダンテの「神曲」を彷彿させる冥界を舞台に、神の審判を受けるため天国の門を目指して彷徨う独裁者たちの姿を描いた異色ドラマ。深い霧に包まれた廃墟の中に、ヒトラー、スターリン、チャーチル、ムッソリーニという、第二次世界大戦時に世界を動かした者たちの姿があった。煉獄の晩餐が始まると、彼らは互いの悪行を嘲笑し己の陶酔に浸る。彼らは地獄のようなこの場所で、天国へと続く門が開くのを待っているのだった。

 

本作は、『エルミタージュ幻想』『太陽』等で知られるロシアの鬼才アレクサンドル・ソクーロフが手掛けており、実在した人物たちのアーカイブ映像を素材として使用し、独特なデジタルテクノロジーで彼らの姿をスクリーンに甦らせ、セリフも全て実際の発言や手記を引用している。

 

 

映画『独裁者たちのとき』は、関西では、6月2日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や京都・烏丸御池のアップリンク京都、6月9日(金)より神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。

かつてダンテが描いた煉獄を彷徨う人物たちは、アーカイブに残ったヒトラー、スターリン、チャーチル、ムッソリーニ。彼らの口から出る言葉も日記などに記録されたものを元にしているから、アーカイブだ。ソクーロフ監督は、もはや記録にしか残らない国家社会主義者、コミュニスト、帝国主義者、ファシストを歴史のゴミ箱から拾い上げて、自らの煉獄を舞台に彼らを蠢かせた。本作の映像手法は、これからのネット空間に溢れるであろう虚像を予期させ、奇妙なふらつきを覚える。間違いなく実験映画に含まれる作品だ。アーカイブならではのセピア色の煉獄で繰り広げられる彼らの語りは的を得ない。キリスト教世界を題材にした作品なのに、信仰も祈りもない。彼らは皆、駆け引きと扇動と悪罵に満ちた無神論者で政治的人間であるからだ。そうすれば、彼らを経たこの世界も煉獄なのではなかろうか。嫌なものをみた気がするけれども考えるのをやめたくない、そんな夢をみたような気になった。

fromにしの

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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