同世代の俳優が沸々と”あいつには負けたくないな”と思いながら演じていた…『OUT』倉悠貴さんと水上恒司さんと品川ヒロシ監督を迎え特別上映会開催!
少年院を出所した伝説の不良少年が、地元から離れた親戚の元で更生生活を送る様子を描く『OUT』が11月17日(金)より全国の劇場で公開される。11月4日(土)には、大阪・難波のなんばパークスシネマに倉悠貴さんと水上恒司さんと品川ヒロシ監督を迎え、特別上映会が開催された。
映画『OUT』は、『ドロップ』の品川ヒロシさんが監督・脚本を務め、自身の中学時代からの友人で『ドロップ』にも登場する井口達也さんの青年時代を描いた実録不良漫画「OUT」を実写映画化した。かつて「狛江の狂犬」と恐れられた伝説の不良である井口達也。少年院から出所した彼は、地元から離れた西千葉の叔父夫妻のもとに身を寄せ、焼肉店「三塁」で働きながら更生を目指すことに。しかし出所初日に、暴走族「斬人」の副総長である安倍要とケンカをしてしまう。少年院に戻りたくない達也と、達也に負けたことを周囲に知られたくない要は、このケンカを秘密にすることを誓い、交流を深めていく。そしてこの出会いをきっかけに、達也の波乱に満ちた更生生活が幕を開ける。『スパゲティコード・ラブ』の倉悠貴さんが主演を務め、『野球部に花束を』の醍醐虎汰朗さん、『死刑にいたる病』の水上恒司さん、乃木坂46の与田祐希さんが共演している。
今回、上映後に、倉悠貴さんと水上恒司さんと品川ヒロシ監督が登壇。作中のキャラクターとは違った和やかな雰囲気の中で舞台挨拶が繰り広げられた。
初共演となった倉さんと水上さん。倉さんは「初めまして、の時は、”水上恒司です。宜しくお願いします”(低姿勢)とといった感じだったのに、どんどん僕に対しての態度がおかしくなっていって、明らかにナメられている、というか、本当に嫌われているんじゃないか、と心配になるぐらい、最近は”要と達也”みたいな感じで接してくるので、ちょっと恐いです」と本音が。これを受け、水上さんは「そのぐらいがちょうど良いかな。突けば子犬みたいにキャンキャンキャンキャン言うから」と言いながらも「撮影中は、僕にとってもヒントになれば良いと思いました。ちょっとでも彼にとって達也と要の関係性を演じていくにあたって、ちょっとでもヒントになったら良いな、と思って心地良くイジめていました」と振り返る。だが、倉さんは「撮影中だけじゃなく、終わってからも、ずっとこういう態度で…恐いです」と更に本音を漏らしていく。2人が一緒に取材を受ける時、水上さんは「(倉さんが)嫌いです」と話すようだが「嫌い嫌いも好きなうちですからね」と表し、倉さんは「本当かなぁ」と苦笑いせざるを得ない。この2人の姿を見ながら、品川監督は「このまんまですね。いつもわぁわぁ言っていますよね。いつも水上君がなにか言って、倉がブツブツ言っている感じの関係ではありますね。(2人のことを)ヘラヘラして見ている」と大人の目線で眺めているようだ。緊張している倉さんに対しても「喋ればいいんだよ、普通に」となだめて接している。そんな品川監督に対し、倉さんは「東京のパパみたいな感じ。家にもよく遊びにいかせてもらっている。居心地良くさせてもらっています。品川さんに対しては緊張しないようになりました」と信頼しているようだ。
アクションについて、倉さんは「体を作るところから始めたんです。品川さんがジムに一緒に通って下さった。撮影前1ヶ月ぐらいはほぼ毎日、胸、肩、背中を中心にしたメニューを組んで下さった」と明かす。倉さんと水上さんと醍醐虎汰朗さん等と共に通っており、水上さんは「異常ですよ。基本的に静かにやるものなのに…うるさい。おかしいな、俺達」と当時を思い返す。倉さんは「僕はもう全く…どう見ても運動とか得意そうじゃないので。全く鍛えたこともなくて。2人は重いものを持ち上げたりするから、ヒイヒイ言いながら…」と打ち明けると、品川さんは「そう言わないとやらないんですもん、コイツは。”もう無理だよぉ”って言うから。ジムでも落ち込むんだよね。俺と水上君より重量が軽いから”僕、そんなに上がらない…”って言うから”それは重さじゃないんだよ。重さじゃなくて、自分を如何に限界まで追い込むか、なんだよ、ジムは”というところから、あめとムチで」と気遣いながらも鍛え上げていた。水上さんは、ジムに通い続け5Kgも落としており「一回大きくした経験があったら、1回萎んでも簡単に復活できる」と自信があり「倉君はやったことがないことをやるから、難しいし時間もかかる。だから彼は落ち込んでいた。そんな彼を見ながら、僕は優越感に浸りながら、さらに頑張れる」と自負がある。
撮影現場に入ると、倉さんは「アクションは、やるしかないので何回も反復練習した。今回、アクションが長尺。人によっては関節技が合ったり特殊な動きをしたりするので、皆が毎日必死になっているので、皆に負けないようにやっていました」と一生懸命になっていた。これを受け、品川監督は「2人とも、そこまでアクションは得意じゃない、と言っていた。アクションと言いつつお芝居だから、高度なことをやっているけど、芝居から気持ちが入っていけば出来るよ」とアドバイスしている。水上さんは、鼎談記事より「ただダンスにしたくなかった。アクションを形だけでなく理由を今回は取り入れたい。それは、暴力を肯定したくないから」といった箇所を引用し「そういう座組でアクションやって良かった」と実感しており「単純に殴るのはアホなんで。手を出したら終わりなんで。1つのエンタメにしていく」と感心していた。品川監督は「絶対に誰がどう見てもパンチや蹴りが当たって見えるようにしたかった。そういった研究をして皆に伝えてやっていた」と説き「痛さを頑張って作った。あまり撮影方法は言いたくない。皆で一生懸命に考えた。ハリウッド映画ではフルCGで出来るんです。ちょっとアナログ、半分CGでどうやったらリアルに見えるかな。『OUT』の続きが出来たら、もっと凄いことを考えたいな」と期待させていく。
なお、大阪府出身である倉さんは「なんばパークスシネマはよく来ていた。良い映画館なんです。なんばパークスに”肉処 倉”という焼肉屋さんがある。映画を観にいく時、エスカレーターで上がるところで見えるけど、行ったことは無くて」と正直に話す。品川監督は「関西地方と九州地方は僕の映画をけっこう観てくれるんです。ヤンキーが多いんでしょ」と指摘しながら「やんちゃな映画を大阪や九州の人は観てくれるんですよ。大阪と福岡のプロモーションは絶対やりたいとお願いしているので、『OUT』も大阪や福岡で愛してくれるかな。大阪は凄い良い印象」と気に入っている。NHK連続テレビ小説「ブギウギ」に出演中の水上さんは「関西弁は難しいですね。僕が今は関西弁を喋っているのか、標準語なのか、はたまた(福岡県出身なので)博多弁なのか分からないですね」と大変そうだ。仕事では新大阪から仕事場へ移動するだけのことが多く「今日ココへ来る時に初めてグリコ見ました」と告白。現在、「ブギウギ」ではメッセンジャーの黒田さんと仲良くしており「凄く可愛がって下さっている。何か(お薦めスポットを)教えてもらおうかな」と楽しみにしている。
現場の雰囲気について、品川監督は「若い子が多い現場ですから、同世代が集まっており、皆仲良く楽しくやっていた。僕もなるべく皆と同い年ぐらいの気持ちでいたいので、一緒に話していた」と回想。倉さんは「部活みたいな感じだった。勿論良い緊張感を持ちながらですけど。今回、ヤンキーの作品で、皆同じ世代の俳優で、沸々と皆が”あいつには負けたくないな”と思いながらやっていたんじゃないか」と受けとめており、品川監督も「友情とかもあるけど、やはり、アクションシーンでも自分が格好良く映りたい、というライバル心もあるし、友情もある」と捉えていた。水上さんは「僕自身が同世代の方々と作品を通して一緒にやるのが少ない方で。同級生の方をイジることが少なかったので、同級生の倉君と一緒にやった時間が刺激になりましたね」と良い経験になっているが、倉さんに対しては「こんな同級生もいるんだ」と感心。これを受け、品川さんは「水上君は、倉がいないところでは無茶苦茶褒めるんです、取材とかも。いると、ちょっかいを出しているんです。プロモーションを含めて辛めのキャラクターを演じるんです」と明かした。
最後に、倉さんは「公開はまだこれからなんですけど、続編が出来るように広がっていけばいいな」とメッセージ。水上さんは「焼肉食べたいでしょ。この後、焼肉食べて帰って下さい」と提案し、情熱ホルモンとのコラボキャンペーンが開催中であることも紹介される。品川監督は「台詞も要所要所で冗談っぽく言っていることが後々に絡んでくる。最初は派手なアクション等分かりやすいところで楽しんでもらえているかな、と思うんですけど、何回も見ていると気づくところがある。漫画に基づいた伏線も張っているので、漫画と合わせて楽しんで頂けると嬉しいかな」と期待しながら、舞台挨拶は締め括られた。
映画『OUT』は、11月17日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマやなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都や七条のT・ジョイ京都、神戸・三宮のkino cinéma神戸国際等で公開。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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