19世紀フランスのメディアを鋭く描く『幻滅』がいよいよ劇場公開!
©2021 CURIOSA FILMS – GAUMONT – FRANCE 3 CINEMA – GABRIEL INC. – UMEDIA
19世紀前半のフランスを舞台に、貴族の人妻とパリに駆け落ちした、詩人を志す純朴な青年を描く『幻滅』が4月14日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『幻滅』…
19世紀前半。フランスでは恐怖政治が終焉を迎え、宮廷貴族たちが自由と享楽的な生活を謳歌していた。詩人としての成功を夢見る田舎町の純朴な青年リュシアンは、貴族の人妻ルイーズとパリへ駆け落ちするが、世間知らずで無作法な彼は社交界で笑いものにされてしまう。生活のため新聞記者の仕事に就いた彼は、金のために魂を売る同僚たちに影響され、当初の目的を忘れて虚飾と快楽にまみれた世界へと堕落していく。
本作は、19世紀フランスの文豪オノレ・ド・バルザックの小説「幻滅 メディア戦記」を、『偉大なるマルグリット』のグザビエ・ジャノリ監督が映画化。『Summer of 85』のバンジャマン・ボワザンが主演を務め、『アマンダと僕』のバンサン・ラコスト、監督としても活躍するグザヴィエ・ドラン、『ヒア アフター』のセシル・ドゥ・フランスが共演。22021年の第78回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品され、2022年の第47回セザール賞では作品賞を含む7部門に輝いた。
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映画『幻滅』は、4月14日(金)より全国の劇場で公開。関西では、4月14日(金)より、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、京都・烏丸御池のアップリンク京都、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸などで公開。
詩人を志す田舎町の純朴な青年リュシアンが主人公。いざ、都会に出てみると、如何に自身が浅はかな人間であったか、と思い知らされてしまう。普通は、都会で砕け散って田舎に帰るが、リュシアンは諦めず、藁をも掴むような勢いで、新聞記者と繋がっていく。だが、リュシアンが掴んだものは、彼にとって最適なものだっただろうか。記者として紙面の1面を飾る書評を執筆していくが、賛辞するのではなく、酷評を書いていくことで上り詰めていく現場であった。とはいえ、本来リュシアンが目指すべき作家の姿として登場するナタンと出会い交流を重ねていく。ナタンを演じるのは、映画監督としても有名なグザヴィエ・ドラン。彼が本作に登場することで、物語の軸を引き締めている。いずれは袂を分かつにしても、リュシアンとナタンの関係性は興味深い。フランスの社交界の中で上り詰めていくことの愚かさや儚さを映像表現の豊かさを以て味わうことが出来る一作である。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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