4人家族の中でただ1人の健聴者である少女が歌うことを夢見て成長していく姿を描く『コーダ あいのうた』がいよいよ劇場公開!
(C)2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS
耳の聞こえない家族の中で、ただひとりだけ耳が聞こえて、歌の才能を持つ娘と、家族の支え合いと絆を描く『コーダ あいのうた』が1月21日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『コーダ あいのうた』は、家族の中でただ1人の健聴者である少女の勇気が、家族やさまざまな問題を力に変えていく姿を描いたヒューマンドラマ。海の町でやさしい両親と兄と暮らす高校生のルビー。彼女は家族の中で1人だけ耳が聞こえる。幼い頃から家族の耳となったルビーは家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。新学期、合唱クラブに入部したルビーの歌の才能に気づいた顧問の先生は、都会の名門音楽大学の受験を強く勧めるが、 ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられずにいた。家業の方が大事だと大反対する両親に、ルビーは自分の夢よりも家族の助けを続けることを決意するが…
本作は、2014年製作のフランス映画『エール!』のリメイク。テレビシリーズ「ロック&キー」などで注目の集まるエミリア・ジョーンズがルビー役を演じ、『愛は静けさの中に』のオスカー女優マーリー・マトリンら、実際に聴覚障害を持つ俳優たちがルビーの家族を演じる。監督は『タルーラ 彼女たちの事情』のシアン・ヘダーが務めた。なお、タイトルの「CODA(コーダ)」は、「Children of Deaf Adults= “⽿の聴こえない両親に育てられた⼦ども”」のことを指す。
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映画『コーダ あいのうた』は、1月24日(金)より全国の劇場で公開。
家族の中で1人だけ耳が聞こえる主人公のルビー。漁業を営む家族にとっては大切な存在だ。だが、視点を変えてみると、家族に縛られてもいる。大変な家族環境の中で自立してきた彼女の中に秘められた才能は、歌うこと。しかし、家族の誰も彼女の才能に気づき、育てられないことが切ない。観る者にとっても葛藤さえ抱いてしまう。そんな彼女が持つ才能を見出した合唱クラブの顧問の先生がいたことが救いになっていく。しかし、家族を支えることを第一にしているルビーにとっては、自らの才能を潰すことにもなりかねない出来事が次々と起こり、憤りすら感じてしまう。しかし、子どもの夢を叶えてあげたい親の気持ちはどこでも一緒だと考えておきたい。
なお、ルビーの家族を演じた俳優達は、皆が耳の聞こえない方々をキャスティングしている。キャスティングを担ったスタッフ達がリアリティを求めた先には抜群の演技力があった。一家団欒の風景では、気概ないユーモアが存分に表現されており、耳が聞こえないだけで、一般家庭となんら変わりないことを気づかされる。そして、ルビーが歌う姿に対する感じ方こそリアリティがあった。本当に素晴らしい歌声なのか分からない中で、周囲の反応を伺いながら拍手する姿には、ルビーの未来を応援しようとする気持ちが芽生えだしたようにも感じる。絶えず存在し続ける葛藤の中で、ルビーが選んだ未来を大いに応援する気持ちで今作を観ていたい…♪
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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