第2次世界大戦末期に新型爆弾の開発を命じられた研究者の苦悩を描く青春群像劇『映画 太陽の子』がいよいよ劇場公開!
©2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ
第2次世界大戦の終盤、“日本の原爆開発”を背景に3人の若者たちの葛藤や青春が描かれる『映画 太陽の子』が8月6日(金)より全国の劇場で公開される。
『映画 太陽の子』は、日本の原爆開発を背景に時代に翻弄された若者たちの姿を描き、2020年8月にNHKで放送されたドラマ「太陽の子」を、ドラマ版とは異なる視点で描いていく劇場版。戦況が最終局面を迎えた1945年の夏。科学者の石村修と研究員たちは、国の未来のために原子核爆弾の研究開発を進めていた。建物疎開で家を失った朝倉世津は、幼なじみの修の家に住むことになり、戦地から修の弟・裕之が一時帰宅し、3人は久しぶりに再会する。戦地で深い心の傷を負った裕之、物理学研究の裏側にある恐ろしさに葛藤を抱えていた修、そんな2人を力強く包み込む世津は、戦争が終わった後の世界を考え始めていた。そして、運命の8月6日が訪れてしまう。【配給】イオンエンターテイメント
本作では、修役を柳楽優弥さん、世津役を有村架純さん、裕之役を三浦春馬さんがそれぞれ演じるほか、田中裕子さん、國村隼さん、イッセー尾形さん、山本晋也さんらが脇を固める。監督は連続テレビ小説「ひよっこ」、大河ドラマ「青天を衝け」の黒崎博さんが務めた。
©2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ
『映画 太陽の子』は、8月6日(金)より全国の劇場で公開。
日本でも原爆の開発をしていた、と改めて気づかされた。冷静に考えてみると、戦艦含めアメリカとの技術開発戦争はあったわけだ。理系気質な視点で観てみると、原子物理学を作中で可能な限り丁寧に解説しており、それだけなら興味深い作品である。発想の転換を以て、装置内の摩擦を減らし回転数を上げていく工程には興味津々。これらの技術が基礎となり、現代の科学技術にどれだけ貢献しているだろうと思いを巡らせてしまう。
しかし、何のために満身創痍で彼等は尽力しているのか、冷静に考えてみると切なくなった。気づけば大義名分など消え失せてしまったかのように見せられる戦争に対して施される戦略には呆れてしまう。空襲による火災の延焼を防ぐために建物を取り壊して空間をつくる建物疎開に本当に意味があったのだろうか。「8月6日」を迎えた後に彼等が目にした現実に対し、自らが作り出そうとしたものの脅威に気づかされ、戦争の愚かさを表現している。それでも、科学者としての狂気じみた行動を選んでしまった主人公の石村修に対して、母親が初めて息子に反対するシーンが印象深く残っていく。しかし、戦争が終わった後の世界を考え始めていた世津のような存在が実際にいたことを願ってやまない。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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