プロレスラー葛西純さんがデスマッチに懸けた半生に迫るドキュメンタリー『狂猿』がいよいよ劇場公開!
(C)2021 Jun Kasai Movie Project.
“狂猿”という異名で知られ、20年以上もデスマッチのカリスマとしてトップの座に君臨し続けるプロレスラー、葛西純さんの姿を追ったドキュメンタリー『狂猿』が5月28日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『狂猿』は、デスマッチ・ファイターとして高い人気を誇るプロレスラーである葛西純さんを追ったドキュメンタリー。1998年にデビューし、クレイジー・モンキーの愛称でリングで強烈なインパクトを与え続ける葛西純さんは、腰椎椎間板と頚椎椎間板ヘルニアの併発により2019年12月から長期欠場に入る。リングへの復帰に向けて調整を続ける葛西だったが、新型コロナウイルスという未曾有の事態がプロレス界にも襲いかかる。緊急事態宣言明けの2020年6月10日、葛西の所属するFREEDOMSは有観客興行の開催を決定。この日が葛西の復活第一戦となった。しかし、そこにはこれまでのプロレスのあり方とはまったく違う景色が広がっていた。葛西復帰までの1年をカメラで密着。葛西さん本人、様々な人々の証言等から、葛西さんのプロレス人生を浮かび上がらせていく。監督は数々のミュージックビデオや音楽ドキュメンタリーを発表してきた映像作家である川口潤さんが務めた。
(C)2021 Jun Kasai Movie Project.
映画『狂猿』は、5月28日(金)より全国の劇場で公開。関西では、5月28日(金)より京都・烏丸御池のアップリンク京都、7月2日(金)より神戸・三宮の神戸国際松竹で公開。また、大阪・心斎橋のシネマート心斎橋でも近日公開。
プロレスやデスマッチについて門外漢ではあるが、葛西純さんにインタビューしたくなった。リングの上では怖くておもしろい方であり、リングに向かうまではストイックな方だという印象が残る。思い切ってインタビューしてみたいけど、少しばかりの勇気が要りそうだ。腹括って挑まないと、簡単に舐められそう。でも、本作を最後まで観ると、門外漢だった自分も葛西純さんを応援している、と気づいた。プロフェッショナルとして、そこまで自らを追い込んでいく姿が放つ魅力にしびれるしかない。
剃刀や蛍光灯…ホームセンターで売っているものは全て凶器になる…なんという理論だと呆れてしまうが、自らが用意した凶器を以て自身を傷つけることにいとまない。凶器で大怪我をするのはみっともない。大怪我をせずオーディエンスを熱狂させながら凶器を使うことがプロフェッショナルの力量。だからこそ、長年ずっとデスマッチのプロレスラーでいられる、と理解できる。デスマッチレスラーを見守る周囲のレスラー達も、いつまでそんなことをやっているんだ、と諦めに近い呆れの気持ちを告げるが、葛西さんをはじめとしたレスラーには魅力的なマッチであるのだろう。
個人的には、試合中にリングから飛んでくる凶器の破片をまさに身を以て受けとめ観客に怪我させないようにしているスタッフ達もエラいとつくづく感じる。レスラー達とスタッフ達がプロフェッショナルであるからこそ、デスマッチというエンターテインメントが成立していると気づかされた。現在のコロナ禍においても目の前で体感したいファンがいるからこそ、可能な限り葛西純は戦ってほしいと切に願うばかりである。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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