Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

  • facebook

デンマークの美しい農村を舞台に、一緒に暮らしてきた若い姪と年老いた叔父が転機を迎える姿を描く『わたしの叔父さん』が関西の劇場でもいよいよ公開!

2021年2月3日

(C)2019 88miles

 

美しい農村を舞台に、年老いた叔父と家畜を世話しながら暮らす女性のささやかな夢と恋を描く『わたしの叔父さん』が2月5日(金)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『わたしの叔父さん』は、デンマークの農村を舞台に、体の不自由な叔父と一緒に家畜の世話をして生きてきた女性に訪れる人生の転機を、時にユーモアを交えながら美しい映像で描いたヒューマンドラマ。幼い頃に両親を亡くし、体の不自由な叔父と2人で暮らす27歳の女性クリスは、家業である酪農の仕事を手伝いながら日々を穏やかに淡々と過ごしている。そんな彼女には、獣医になるという夢があった。ある時、教会で出会った青年マイクからデートに誘われたクリスは、訪れる変化に戸惑いながらも胸のときめきを隠せない。将来の夢と恋に悩むクリスに気付いた叔父は、姪の幸せを静かに後押しするが…

 

本作は、日本の小津安二郎監督作品から映画を学んだというデンマークの新鋭、フラレ・ピーダセン監督の繊細で情感豊かな演出が見どころ。イェデ・スナゴーがクリス、ペーダ・ハンセン・テューセンが叔父を演じ、オーレ・キャスパセン、トゥーエ・フリスク・ピーダセンもキャストに名を連ねた。なお、2019年の第32回東京国際映画祭コンペティション部門で最高賞にあたる東京グランプリを受賞している。

 

(C)2019 88miles

 

映画『わたしの叔父さん』は、関西では2月5日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田、2月26日(金)より京都・烏丸御池のアップリンク京都で公開。

老いた叔父との生活に追われ、いつしか自分が何者なのか忘れた主人公クリスティーネ。獣医学の道を志したが、行かなかった。朝は叔父の服の着替えから始まり、夜はベッドの中で読む本で終わる。トラクターの慣れたハンドル操作を見せる彼女は27歳らしくない佇まい。たまに行くスーパーと牧場だけが彼女の全てであり、毎日そこで乳牛の世話をする二人は、まるで小さな世界を営んでいるように見えた。現実の世界と彼女たちを繋ぐのは食卓からのニュースだけ。ミサイルの発射実験が日本海で起きていても、彼女の凛とした表情からは「外の世界で何が起きてたって私たちには関係ない」、そんな態度さえ漂わせている。親の世話で自分の人生をすり減らしている主人公の姿に、自分の人生を重ねて比較してしまいそうになった。作り話だと分かっていても居た堪れない感情が湧いてしまう。見たくないもの、普段は蓋をして見えないようにしているものを、目の前で全部ひっくり返されたような感じに似ている。

 

クリスティーネの比較としてもう1人、マイクが出てくるが、彼女よりしっかりと自分の未来へのビジョンを持てているのは、田舎という社会の中での男女の立場の差なのか、と思わされた。マイクやヨハネスがクリスティーネの人生の後押しをしようとしても、彼女が拒絶してしまうのは長い間 叔父と二人っきりの世界で生きてきた証拠であり、外の世界との関わり方を忘れてしまったからだろうか。本作は、優れたストーリーの流れに加え、マスターショットの多い画、機微のある演技が上手く混ざりあってしみじみと考えさせられる。「何がクリスティーネにとって幸せなのだろうか」と考えながら、エンドロールから目を離すことが出来なかった。

from君山

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

Popular Posts