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チェコスロバキア発のヌーヴェルヴァーグ!2人の女の子を主人公に据えた青春コメディ『ひなぎく 4Kレストア版』がいよいよ劇場公開!

2026年3月10日

©Czech audiovisual fund, source: NFA

 

2人の少女が常識を踏み越え、悪戯と破壊を繰り返しながら、自由奔放に振る舞う姿を斬新な表現で描く『ひなぎく 4Kレストア版』が3月14日(土)より全国の劇場で公開される。

 

映画『ひなぎく 4Kレストア版』は、1960年代チェコ・ヌーベルバーグを代表する一作で、”マリエ1”と”マリエ2”という奔放な2人の少女が繰り広げる大騒ぎを、色ズレやカラーリング、実験的な光学処理、斬新な効果音、唐突な場面転換など冒険心に満ちた多彩な手法を用いて描き出した。金髪のボブにひなぎくの花輪をのせた姉と、こげ茶の髪を2つに結んだ妹。2人はともに”マリエ”と名乗って姉妹と偽り、男たちを騙して食事をおごらせた挙句に嘘泣きして逃げ出したりと自由気ままに生きている。部屋の中でも、牛乳風呂に入ったり紙を燃やしたりとやりたい放題。グラビアを切り抜き、ベッドのシーツを切り、ついにはお互いの身体をちょん切り始め、やがて画面そのものがコマ切れになる。

 

本作の監督・脚本は、チェコ映画の先駆者であり、チェコ・ヌーベルバーグで最も著名な女性監督ベラ・ヒティロバー。主人公の2人を演じたのは、オーディションで選ばれた素人のイトカ・ツェルホバーとイバナ・カルバノバー。そのほかの登場人物も作曲家やデザイナーなど、プロの俳優ではない面々が務めている。日本では1991年に吉祥寺バウスシアターで初めて正式に劇場公開され、口コミでロングラン上映となった。以降もカルト的人気を集め、2026年3月には製作60年、日本公開35年を記念して4Kレストア版でリバイバル公開される。

 

©Czech audiovisual fund, source: NFA

 

映画『ひなぎく 4Kレストア版』は、3月14日(土)より全国の劇場で公開。関西では、3月20日(金)より京都・烏丸御池のアップリンク京都、4月4日(土)より神戸・元町の元町映画館、4月11日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォで公開。

日本では1991年に初めて正式に劇場公開されて以降、各地の劇場でコンスタントに上映されてきたように感じる映画『ひなぎく』。また、チェコのアニメーション映画を特集上映する機会にも合わせて上映される機会も多くあっただろうか。チェコで傑作と謳われるアニメーション映画が製作されてきた1950年代以降において、フランスで1950年代末に始まったヌーヴェルヴァーグも影響も受けて、本作が製作されたと思わずにはいられない。とはいえ、1968年に”プラハの春”が起こる前に製作された本作。当時、確固たる共産主義であったチェコスロヴァキアにおいて、本作が製作されたことは興味深い。当時は、自由化に向けて緩やかに進んでいく頃であったことから、経営者・労働者への皮肉がたっぷりと込められたメタファーに気づけば気づく程おもしろいことに気づかされる。だが、本作のプレス資料を読んでみると、当時の検閲官は理解することが出来ず、国会の議題にも取り上げられ「共産主義を支持する我々はこの映画を見てどう思えばいいのだろうか。国民、労働者が尽力しておいしい料理をつくったとしても無駄にされ、踏みにじられている、いいのだろうか?」と真面目に議論されたようだ。このエピソードが残されていること自体に皮肉が込められているようでおもしろい。本作を何も考えないで観てみるのもおもしろいが、それだけだと、自由奔放な2人の少女が繰り広げるハチャメチャな大騒ぎを凝った画作りで表現しているだけのように思えるだろう。そこに隠されている意図を考えれば考える程、ウィットに富んだメッセージが込められていることに気づかされる。今回の4Kレストア版にて、改めておもしろさの再発見をしてみてはいかがでしょうか。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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