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1人1人が自由でいい、という犯罪を犯した人達の話です!『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』田口トモロヲ監督を迎え舞台挨拶付き先行上映開催!

2026年2月26日

写真家・地引雄一の自伝的エッセイ「ストリート・キングダム」を基に、1970年代後半の日本を舞台に、パンク・ロックを生み出した若者たちを描く『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』が3月27日(金)より全国の劇場で公開。2月26日(木)には、大阪・難波のTOHOシネマズなんばに田口トモロヲ監督を迎え舞台挨拶付き先行上映が開催された。

 

映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』は、『アイデン&ティティ』の監督である田口トモロヲさんと脚本家の宮藤官九郎さんが再タッグを組んだ青春音楽映画。日本で初めてパンクロックを自分たちの手で生み出した若者たちによるムーブメント”東京ロッカーズ”の姿を、彼らのカメラマン兼マネージャーだった写真家・地引雄一さんの自伝的エッセイ「ストリート・キングダム」を原作に描く。1978年、ラジオで耳にしたセックス・ピストルズに突き動かされて上京したカメラマンの青年ユーイチは、小さなロックミニコミ誌「ロッキンドール」をきっかけに、ライブハウスを訪れる。そこは音楽もバンドも観客たちも何にも縛られない生のエネルギーにあふれた場所で、ボーカルのモモが率いるバンド”TOKAGE”のライブに衝撃を受けたユーイチは夢中でシャッターを押す。正式にカメラマンとして撮影を依頼されたユーイチは、彼らと交流を重ねていく。やがて彼らの音楽は若者たちを熱狂させ、そのムーブメントは”東京ロッカーズ”と呼ばれ日本のロックを塗り替えることとなる。峯田和伸さんがユーイチ役、若葉竜也さんがモモ役で主演を務め、吉岡里帆さん、仲野太賀さん、間宮祥太朗さん、大森南朋さん、中村獅童さん、中島セナさんが共演。『アイデン&ティティ』の大友良英さんが音楽を手がけた。

 

今回、上映前に田口トモロヲ監督が登壇。「今日は…あれ?峯田君はいないのかな? あれ?若葉くんは?どこかに隠れているんでしょう!?吉岡さぁ~ん?宮藤くぅ~ん?…ホントに僕1人ですね」といないはずの登壇者を探しながら、和やかながら熱い思いが伝わってくる舞台挨拶が繰り広げられた。

 

本日は、朝から関西でのキャンペーンに追われていた田口監督。「よ~いドン!」に出演し、円広志さんの洗礼を受けたようだ。緊張しきりで「座る位置が、まさか真ん中だなんて思わなかったんですよ。もう逃げられないじゃないですか。それで、トイレにも行けないじゃないですか」と漏らし、CMの時間も心の余裕がなく「全員、大阪の重鎮ですよね。囲まれちゃって、もう最後までトイレを我慢するしかないな。と思って座っていました」と明かした。大阪について「昔に来た時は、やはり道頓堀とか。織田作之助という作家の小説とかに出てくる自由軒という食堂があり、あそこは、やっぱり行ってみたいな、と思って、大阪に来た時には真っ先に行った思い出があります」と振り返ると共に「やっぱり円さんですよね。 大阪といえばレジェンドですよね。円さんがこの『ストリート・キングダム』を観て、”すごいおもしろかった”と言ってくださって、”自分の若い時を思い出して体が熱くなって、興奮してしまって…”という話を放送外でされていました。僕、てっきり放送の中でその熱を放射して語ってくれる、と思ったら、番組始まったら一切言ってくれなくて…でも、”本当におもしろかった”と言ってくださった」と喜んでいた。

 

本作の構想を始めたのは、2015年。地引さんの「ストリート・キングダム」を読み「僕にとってはジャストでストレートでストライクな物語、というかドキュメントなんです」と言及。「その中に出てくる人達は、僕にとって本当に偉大なレジェンドばっかりだったので、すぐ地引さんに電話して、これを映画にしたい、と言って、東京・浅草で会って、許可をもらって、脚本は宮藤官九郎君しか書けないだろう、と勝手に言って、宮藤君にお願いするので、と言って、そこから開始ですね、何にも決まってないのに…」と振り返る。その後、宮藤さんに電話すると、地引さんの原作を知っており「これ、やるの!? できるの!?」と反応。ミーティングを行い、まずは原作をリスペクトした、ドキュメンタリー風の脚本が2018年に出来上がったようだ。その後、試行錯誤と改訂と迷走を7,8年も繰り返すに至る。改稿していく中で、様々な方に読んでもらっており「分からない」という意見が多く「僕等は知っていて当然の登場人物達なんですけど、初めて文字で読む人達にとっては、何故この人達が当たり前のように登場し、様々なことをやっているのか、ということが理解できない。 そうか、と思って、1つ1つを解体してドラマとして起ち上げていく、という作業を開始しました」と説く。

 

地引さんにあたる役を演じた峯田さんについて「僕の初監督作品『アイデン&ティティ』に主役で出てもらったんですけど、それ以降も俳優さんとして様々な作品を観ているけれども、受けのお芝居はやったことがないな、と思った。いつも表現者として叫んだり歌ったりする、押し出す役は沢山やっているけれど、逆に、相手の芝居や熱を受ける、というのはやったことがないな」と気づき「それをまず僕が見てみたいと思った。ミュージシャン役は全部俳優さんにして、その俳優さんが出すお芝居であったり、熱量であったりを峯田君がどう受けてくれるかみたい」という思いでキャスティングした。

 

若葉竜也さんからは、他の現場で俳優として会った時に、田口監督の作品出演したい思いを伺っており「僕自身が感激する。最終的には、”そういう作品に出たい、と思って俳優をやってきました”と言ってくれた。そういうことを言われたので、いつかは自分が監督する作品には出てもらおう」と思い、今作で実現に至っている。クランクインにあたり「過去のレジェンドの話ですけれど、現代の人がやる、ということで、そこの意味と意義を考えた時、そっくりさん的なことにしないで、この人達のスピリットを演じてほしかったので、演出部で沢山の資料や映像を集めて、お渡しして学習してください、という形にしたんですけれど」と述べ「皆さんはプロフェッショナルですから、それを観て学習して現場に持ってきたものを発表してください、という形で、全員に演出をさせていただいたんです。それを初めて見るのが僕ですので、どういう解釈をして演じてくれるのか、は役得ですね」と現場を楽しんでいた。

 

間宮祥太朗は、田口監督が音楽映画を撮ることを知り「か」とお願いしたようで、それを後から聞き「間宮さんも『アイデン&ティティ』が大好きで。間宮さんと共演したことがなかったですから。現場に入ってから聞いて、もっと早く言ってよ、と。 そしたら10年かからず、もう少し早くできたかもしれないのに、という思いになりましたけれども、見事だったと思います」と話す。仲野太賀さんについては「太賀は、犯人です。犯人が結構いるんですよ、メインの人達で。 まず、初っ端にやらかしてくれますからね、犯人として」と指摘し「ここは見どころだと思いますね。あれは観ていただきたい。 早く観てほしい」とお客様の思いを高めていく。また、吉岡里帆さんと嘗て共演した際に「とにかく『アイデン&ティティ』が好きで、『アイデン&ティティ』熱を語ってくれた」というエピソードを明かし「吉岡さんも、僕が次に監督するときに出てもらおう」と願いをためた”俳優ストック”が今回に実現した形となった。

 

 

撮影を振り返り、苦労した点について「犯人がたくさんいる」と挙げ「それをどういう風に整理していくか、ということに関しては、すごい苦労しましたね」と思い返す。「最初は、もっと犯人が…最初の脚本だと登場人物が多かったんですよ、それを分からない、と言うので泣く泣く削っていったことで、最終的に中心人物たちを絞っていった」と解説「皆、悪い犯人が勢ぞろいして…レジェンド犯人ですよね。整頓して今の形になった」と安堵している。構想からクランクインまで長期間を要したが、撮影現場の田口監督について、峯田さんや若葉さんは「監督、ピリピリしていた」と仰っているようで「自分の気持ちがバレてるやん」と告白。「スタッフさんもですけど、皆さんが若いので、この時代を知らないですよね。だから、お客さんのノリが、今のロックシーンを見た上での演出だったんですよ。今とは全く違い、ロック・パンクのシーンのお客さんが圧倒的に少ない時代ですから、皆が同じように踊るのが違うんですよね。 だから、そこは口酸っぱく、口うるさい小姑のように演出部に言って…そういう意味ではピリピリしてしまって…苦労といえば苦労」と申し訳ない気持ちがありながらも「自分が好きな世界観をようやく実現する、という高揚感の方が強かった」と振り返る。こだわりがあることから「知ってるから嘘はつきたくない。そこは一切妥協したくない。だから、ずっと口頭で説明して喋り倒しましたね」と思い返す。

 

劇中のライブシーンについては、当初から、実際の音源を用いることを決めており「それを聞いてもらって、今の人たちが、”全然古くないじゃん”、”こんなにポップで、こんなに多様なことをやっていたんだ”というのを知ってほしいので、実際の音源を使った。 だから、現場で、僕は”『ボヘミアン・ラプソディ』方式”という風に呼んでいました」と話し「それで、若い俳優さん達も理解してくれて、皆でグルーヴを作るためにスタジオに入って何度も練習して、”エアーバンドハイ”みたいな状態になって、めちゃめちゃ楽しいですよ、と言っていた…いやいや、声出してないじゃん、みたいな。それは、やっぱり伝わるんだ、と思った。この人達の古くなっていないパワーや楽曲が、彼らにも伝わったんだな」と感慨深げだ。なお、当時のライブハウス現在しないことから、美術部が全て作り上げている。当初は「どうしよう」と困惑し、似たような場所が見つかるか、とミーティングをしたが、美術の丸尾知行さんから「はい、作るよ」と言ってもらい「気が変わらないうちに、”マジっすか!? ありがとうございます!”と言って…嬉しかったですね。実際に再現してくれた」と喜んだ。出来上がったセットを見て「鳥肌立ちましたね。美術の丸尾さんは同世代なので、空気感とか緻密さを色々知っているので、映画の美術ってすげえな」と驚き「ん家、建よ」と思える程の出来だった。

 

タイトルにある”自分の音を鳴らせ。”について、日本におけるロック・フェスティバルを例に挙げ「礎を作ったのはこの人達なんですよね。ロックフェスや、インディーズという言葉も彼らが作り出した。その人達のことがあまりにも語られていないので、とにかくまず知ってほしい。そして、この時代にどれだけ攻めて、前衛的で、しかも、なおかつポップなことをやっていたか、というのを知らない方達にプレゼンしたい」という思いがあり「その思いが伝われば嬉しい」と楽しみにしている。また、SNS等が隆盛している現代については「今、僕が若者だったら、絶対YouTuberになっていますね。身近にそういう発表の場があるので。そういう意味では、物理的には凄く恵まれているけど、気持ちは一緒だと思うんですよね」とポジティブに受けとめており「この頃の人たちも皆が閉鎖的で、自分は何をやったらいいんだ、とか、何ができるんだ、と思っていた。そして、パンクという引き金が海外から来た時、東京では”東京ロッカーズ”が始まって、ニューヨークでもロンドンでも同時代的にそういう引き金を引いた人達が沢山いると思うんですよね。 だから、今の人たちも物理的には恵まれているけど、気持ちは一緒だと思うんですよね。それが地続きになっていて、物質的なことだけが違う、と思っていますね。だから、今の人達にも伝わるのではないのかな」と期待していた。だからこそ「こんなに自由な時代があったんだ、という。皆が同じ踊りじゃなくて、それぞれでいいんだ、と許される。自分は自分でいいんだよ、という。映画の中にも落とし込んでいますけど、自分が違っていていいんだ、という考え方が、この時代にはあったので、それが伝わると嬉しいです」と楽しみにしている。

 

最後に「犯人は全員です。全員が共犯者の映画になっています。どういう犯罪を犯したか、というと、1人1人が自由でいい、という犯罪を犯した人達の話です」と述べ「僕自身が映画のファンなので、映画を自由に観て、自由に感じていただければいい、と思うんです。僕自身が好きな映画を発見した時、明日の糧というか、生きるヒントにしたり、それを発見したりするのが嬉しいので、皆様にとっても、この『ストリート・キングダム』がそんなヒントになると嬉しいです」と思いを込め、舞台挨拶を締め括った。

 

映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』は、3月27日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田、難波のTOHOシネマズなんばなんばパークスシネマ、京都・二条のTOHOシネマズ二条や三条のMOVIX京都や九条のT・ジョイ京都、神戸・岩屋の109シネマズHAT神戸等で公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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